アレクサンダー・テクニークで「本」を使うと言えば、「ライング・ダウン(セミ・スパイン)」で、頭の下に使うことが良く知られていますが、アレクサンダーは他にも背中の感覚を鋭くするために使いました。

それについてウォルター・キャリントンが「A Time to Remember」の中で半ページに渡って書いていて、そこにキャリントンは、
「わたしたちには、生徒を教えるときにも、自分にワークするときにも本を使うことを勧める、とアレクサンダーは言った。」
と書いているので、わたしたちも試してみる価値がありそうです。
(「A Time to Remember」は、キャリントンの1946年に受けたクラスレッスンの日記です。当時アレクサンダーは77歳なので、かなり晩年です。)


1986年第1回コングレスのWSのビデオでは、キャリントンはこの「本」を使ったチェアワークを実演しています。
(この本の中では、アレクサンダーが自分で行ったときに、シガーボックスをベルベットで覆うと良いことを見つけた、と書いています。わたしはホームセンターで発泡スチロールのブロックを買ってきました。これはとても良いと思います。)

背中が長く広く

もちろん、背中で起こっていることを知る目的は「背中が長く広く」を起こすためです。

「背中が長く広く」はアレクサンダーが著書の「自分の使い方」第1章「テクニークの進化」でも重要なこととして書いている、アレクサンダー・テクニークの基本です。
それが呼吸の改善にとても関係があることで、初期の頃は「呼吸の人(ブリージング・マン)」として売っていたアレクサンダーは、呼吸の代わりに、全体の協調状態を向上させることをテクニークの内容として掲げるように変えました。

「背中」については、多くのアレクサンダー関連の著作で「強い背中 [strong back]」という言葉も目にしていることしょう。

アレクサンダーの最晩年に個人レッスンを受けたビンクリーは、その日記にアレクサンダーが
「前に言ったように、君はすばらしい背中を持っている。わたしがそうだったら良いのにと思うが、それを使わないのはとても残念だ。背中が広がるようになれば、それで準備ができる。それは、頭が前と上に行くことを許して、首を自由にすることで起こる。」
と言った、と書いています。
これはアレクサンダーが、いかに背中の使い方を重要視していたかを示しています。

しかし、ビンクリーでもかなり時間がかかったように、「背中が長く広く」は多くのトレーニーたちが何年たってもなかなか改善しないことの一つです。

9月4日(土)に坂戸で、また9月10日(金)に梅田で行うワークショップでは「背中が長く広く」について集中的に取組み、自分の背中が長く広くなるための糸口をつかめるようにします。ぜひご参加下さい。

 坂戸:http://yasuhiro-alex.jp/sakado_1day/

 梅田:http://yasuhiro-alex.jp/kansai-ws/

※ビンクリーの本の抄訳は、わたしの「リーディング・クラブ」に入会することで読むことができます(各著作毎に料金がかかります)。また、キャリントンの「A Time to Remember」も、10月位までには準備ができる予定です。「リーディング・クラブ」に関心のある方は、yasuhiro.alex@gmail.comまでお問い合わせください。