この1年間、わたしは60肩で苦しみ、特にギターを弾くとそれが現れました。しかし、その改善に長期的に取り組んだおかげで、いろいろなことが分って来たし、その前にはできなかったことができるようにもなりました。
その過程で分ったのは、指のコントロールには「筋―骨格系」は余り役に立たないということでした。ここで言っている「筋―骨格系」とは、筋肉が骨を引張るという考え方のことを言っています。
何しろ明らかに指の使い方で、肩の後ろの辺りに痛みがでるのですから。
アレクサンダー・テクニークだけでは足りない
アレクサンダー・テクニークの考え方は役に立つのですが、自分の癖を治すにはそれだけでは十分ではありませんでした。
自分の癖はなかなか気づけないからで、そのためアレクサンダーが提唱する「間違っていると思うものをやってみる」を、本当にいろいろ試してみました。
(やみくもに行うのではなく、「頭動いて...」の上でいろいろ試す、ということが基本になります。)
それは、ギターでは、左手のネックの支え方から、指のフレットの押さえ方、右手の肩、手首、甲の使い方から指の使い方、果ては腹部の内臓周辺の使い方までいろいろでした。
ファッシアのしくみが繊細なコントロールを可能にしている
ある程度改善が見られた後で、ファシアの知識に巡り合いましたが、今回、肩から腕、指のファシアを学んでみて、この知識が欲しかったと思いました。
「張力ネットワーク」の仕組みは、肩―腕にこそ最も特徴的に現れているからです。
ステッコの「ファシア系の解剖学アトラス」には、その様子を多くの写真で明確に示していますが、簡単に書けば、筋肉は骨に接続しているだけ(それはもちろん腱で)ではない、ということです。
今までの2回のレクチャーで考えてきた、身体を覆うシートとしてのファシアに対して、筋肉が直接繋がっている部分があるのです(これを「筋ファシア展開」と呼びます)。
それがあるために、腕で言えば、大胸筋や三角筋や広背筋が働くと、腕を覆うファシアを引張り、当然指の動きにも影響します。
これでは、胴体を固めると指の動きが悪くなるはずだし、指の動きの改善には、ファシアの張力ネットワークを考えて、それを協調的に働かせる必要があるのです。
筋肉は骨に付着しているだけでなくファシアに入り込み、それを引張っている
腕の動きとは異なることですが、ファシアが骨格以外のその人の形(体形)を決めていることを前のレクチャーで説明しました(筋肉は、例えればグレープフルーツの果肉の部分にあたります。果肉を覆っているいろいろな部分がファシアで、それがあるから人はその人の形に見えます)。ファシアを直接コントロールすることはできませんが、筋肉は「ファシアの張りを変える」という、今まで余り考えなかった役割を行っているのですから、身体改善に違う視点が持てます。筋肉の使い方を変えて、ファシアの張りの具合を変えれば、自身の体形のシェープ・アップが可能になるからです。(30秒でお腹の出っ張りを解消する「アレクサンダー・ダイエット」は、身体腹部のファシアの張りを変えています。)
第3回ファシアレクチャー
第3回のファシアレクチャーでは、肩と腕を中心に、筋肉が腕のファシアを引張り、それが腕や手、さらに胴体との協調的な動きに関係することを見ます。
アレクサンダー・テクニークの有名は「ハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェア」は、頭から胴体、腕、指にかけてのファシアを「張力ネットワーク」として働かせるものと言えます。
そのため、これを行うときに「筋―骨格系」を考えることは妨げになるだけです。
(今回はファシアシリーズの最終回になりますが、前のレクチャーを受けていない方でも理解が可能です。)
池袋 3月27日(土) 15:00-18:00
オンライン4月7日(水)13:30–16:30
オンライン4月11日(日)13:30-16:30
http://yasuhiro-alex.jp/ikebukuro-lecture/からお申込み下さい
梅田4月2日(金)13:30-16:30(予定)4月5日(日)17:45-20:45http://yasuhiro-alex.jp/kansai-ws/ からお申込み下さい