脚を中心に扱った第2回のファシアレクチャーの重要な内容の一つは、健康な生活のためには、脚全体を包んでいるファシア(大腿ファシアと下腿ファシア)を考える必要があることでした。
レクチャーで紹介したように、こののファシアが弛んでいると、弾性ストッキングが必要になるほど、むくみや障害がでます。(ちなみに、腰痛のためのコルセットもそうですが、弾性ストッキングを使い続けると、身体は自分でその機能を行う必要が無いと考えるので、脚のファシアの機能をさらに低下させます。)

痛みや病的な症状がなくても、胸腰ファシアから殿筋のファシア、脚のファシアを若いときのように柔軟に使うことで、普段の生活の動き(歩いたり、立ったり、座ったり、デスクワークをしたり)や、運動、楽器の演奏が向上することでしょう。
脚のファシアを鍛える必要があるわけですが、直接ファシアを鍛えるわけには行かないので、身体の張力ネットワークの力の分布を良いものにして、脚のファシアに働きかける必要があります。

もちろん、アレクサンダー・テクニークはそれを行なうための一つの手段ですが、それを行なうためには、身体全体が張力ネットワークとして機能する体験を重ねることがかその理解を深める必要があります。
3月末(梅田とオンラインでは4月)に行う第3回ファシア・レクチャー(ファシアの最終回)は、いよいよ、そのアレクサンダー・テクニーク的な「頭と首と背中」にかけてのファシアの構造を扱います。

「ファシア系の解剖アトラス」からの引用

人体の張力ネットワークの重要性を復習するために、カラ・ステッコの「ファシア系の解剖アトラス」(2015年出版)の本から引用しましょう。

「解剖学アトラスの主要な本は、身体の器官と筋肉の詳細を説明しています。しかしそれらの構造物を覆うファシアのことを、読者が考えることができるようにはなっていません。
普通は、ファシアのどこかの部分だけを取り上げながら、不透明な被膜、という重要ではない機能の一つしか書いていないのです。
同じように解剖学者は、結合組織を、関節や筋肉や器官や腱の研究のために取り除くべきもの、と考えています。
そして、多くの人たちは、前からの解剖学テキストで学んだ内容に基づく知識で、解剖を行います。

残念なことに、その学んだ内容は、ただ運動系の一部しか説明しません。その運動系を統合するファシアを無視しています。
近年の研究は、神経刺激に反応する筋肉の活動だけで、身体の動きが起きているわけではないことを、明らかにしています。
筋肉は今や、適正な機能のために協調的に働かせなくてはならない系(システム)の「一つの構成要素」と理解されています。
運動系が協調的に働けるように、ファシアが多くを行なっているのです。」

第3回ファシアレクチャー「頭から首と腕にかけてのファシア、手の繊細な動き――全体性とハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェア」

このステッコの本の第4章のタイトルは「頭と首のファシア」で、大型本で37ページあり、多くの写真と図とビデオ(本の購入者はWebで見ることができる)で、その構造を詳細に説明しています。
今回のレクチャーでは、その概要を紹介するとともに、それについての実体験も持てるようにします。
僧帽筋などの筋肉構造の上にある層のつながりが、どれほど影響力を持つかを理解できることでしょう。

池袋3月27日(土) 15:00-18:00)
オンライン4月7日(水)13:30–16:30
オンライン4月11日(日)13:30-16:30
http://yasuhiro-alex.jp/ikebukuro-lecture/からお申込み下さい

梅田4月2日(金)13:30-16:30(予定)
4月5日(日)17:45-20:45
http://yasuhiro-alex.jp/kansai-ws/ からお申込み下さい