タイトルに記した、アレクサンダーの2冊目の本と3冊目の本の訳の改訂を行い、販売を開始したので、簡単にこの2冊の本の紹介をしておきます。

購入を希望される方は、このページをご覧ください。
(ページの中のリンクから、訳の一部を読むことができます。)

(1)「個人の建設的で意識的なコントロール」(略称 CCC)

アレクサンダーは、この本を彼の最も重要な本と考えていました。
わたしたちが、なかなか変わることができない原因(それは、アレクサンダー・テクニークの習得が難しい原因でもあるのですが)は、自分の感覚に影響を受けているからだ、ということが中心に書かれています。
そのため、大きく4つのパートに分かれた、その全てのタイトルに「感覚認識との関連での...」という言葉が使われています。

有名な、「ハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェア」の手順が書かれていることも、この本の大きな特徴なのですが、人がなぜ変われないか、変るために何に取り組めば良いか、と言う主題は、本当に教育の観点として優れたものです(つい教師は、生徒はなかなか変わらない、と思ってしまうからです)。
そこで書いている、普通に言う「集中」は良くない、とか「模倣」をしようとすることがスキルを作る妨げになる、という指摘は、最初は奇をてらうようにも感じますが、これを読む人は、誰もが、自分が何かの技術の習得が進まない原因を見つけるでしょう。

アレクサンダーは、この本を第一次世界大戦後の1923年に出版しましたが、彼の1冊目のの本「人が受け継いでいる最高のもの」(1910年に最初に出版して、1918年に大きく改訂を行った)の続編、と考えていました。
この本は、哲学者のジョン・デューイが、全て眼を通してチェックしています。
アレクサンダーには、1915年からのデューイとの長年の親交(この10年弱の間、アレクサンダーは、1年の半分以上をアメリカで過ごしていました)がありました。デューイは生徒として学び、アレクサンダーの考え方に感銘を受け、自分の著書にも、その考え方を取り入れています。

【CCC内容】

パートⅠ: 感覚認識と人の進化的な発達との関係

パートⅡ: 感覚認識と学ぶこと、何かをすることを学ぶこととの関係
1章 教育と再教育
2章 誤った考え
3章 不完全な感覚認識
4章 実例
5章 呼吸のメカニズム
6章 過度に刺激された恐怖反射、コントロールできない感情、固定的な偏見
7章 心身的な平衡状態

パート Ⅲ: 感覚認識と人の必要性との関係
1章 自分自身を知る
2章 模倣
3章 集中と指示を与え続けること
4章 記憶と感覚
5章 ストレスと緊張との関連での複合性と複雑性

パート Ⅳ: 感覚認識と人の幸福との関係結 論

(2))「自分の使い方」(略称 UOS)

多くの著名なアレクサンダー教師が、特にこの第1章「テクニークの進化」を何度も読むことを薦めています。
それは、このA4で21ページの章に、アレクサンダーが彼のテクニークを作りあげた過程が、全て書かれているからです。

この本は、アレクサンダーが62歳でようやく行った教師養成トレーニングの、開始の翌年(1932年)に出版されました。
この本が、これから教えることを学ぶ人の、テキストになることを考えていたに違いありません。
そのため、CCCが、テクニークの全体の考え方や展望を、多く書いていることに較べると、具体的なテクニーク自体の記述になっています。
先に触れた1章はもちろんですが、3章にはゴルフ、4章には吃音を取り上げて書いています。
それは、そのような人たちだけの特別の事例を書いているわけではなくて、普通の人が共通に持つ問題を、彼らに代表させているだけです。
わたしたち誰もが、同じような問題を抱えていることが分るし、そのような具体的な問題に、どう取り組むか、を詳しく書いています。

【UOS内容】

第1章 テクニークの進化

第2章 使い方と機能の仕方の反応との関係

第3章 ボールを見続けることができないゴルファー

第4章 吃音者

第5章 診断と医学教育