新宿朝日カルチャーの「呼吸全体を変えるアレクサンダー・テクニーク」の2回目が昨日終わりました。
今回の3回連続コースについては、1回目のブログで書いていなかったので、それも踏まえて書いてみます。
呼吸とアレクサンダー
呼吸はアレクサンダー・テクニークにとってとても重要なテーマです。
アレクサンダーは、テクニークを見つけた後にニュージーランドをシェークスピア劇等の朗誦のステージで回っていたときに、現地のマウイ族の呼吸法に感銘し、自分のテクニークと結び付けました。
1904年にオーストラリアからロンドンに渡ってしばらくは、彼は「呼吸の人」と呼ばれています。
その後には、呼吸はアレクサンダー・テクニークの主な部分ではなくなりましたが、テクニークを使う結果として確認を行う重要な部分だ、ということは変わりません。
呼吸は結果として確認をするもので、手段ではありませんでした。
他の呼吸法との違い
呼吸で結果を出すことはアレクサンダーにとっては重要なことでしたが、彼が呼吸は直接コントロールするものではないと考えたことは、他の呼吸法とは明確に異なる点です。
呼吸はそれを意識するだけでも変わる、非常に繊細なものです。
気分が穏やかになれば緩やかな呼吸になるし、走れば自然と激しい呼吸になるし、大きな声を出したいという意図を持てば身体はそう思わなくても、大きく息を吸い込みます。
ただ人間の場合は、大きな声を出すとときについ心配や余計な考えが起こり、息を意識して大きく吸い込まなくてはならないと思ったりするために、身体に起こる呼吸の自然な動作に妨げを行うことがあります。
声に苦手感がある人がそうですし、管楽器を演奏する人たちが無理に息を吸い込む様子は、とても一般的です。
でも、もし本当の危険が迫っているなどして、人に注意を促す必要のある事態が起きたら、何も考えずに深く息を吸い大きな声が出ることでしょう。
自分の色々な活動での呼吸に気づくこと
ある呼吸法を練習して、その練習により普段の生活での呼吸の改善を望むことはアレクサンダー・テクニークでは考えません。
その活動の習慣的な行い方に戻ってしまうので、改善した呼吸はすぐに失われてしまうからです。
普段の活動での自分の呼吸への気づきの力を高め、それを自分が行っている活動や身体の使い方と強く関わっていることを理解します。
そのような気づきを高めることが、どれほど練習が必要かを分かっっている人は、このプロセスの重要性が分ることでしょう。
これを行わないために、普通のひとの呼吸が変わることはとても稀です。
1回目のクラスでは、それらを説明し、次回までの1ヶ月の間に自分の呼吸の気づきを高めることを提案しました。
呼吸に影響を与えるもの
1)身体バランスと、動きに参加する全ての筋肉の関連性
これはまさに、アレクサンダー・テクニークの内容そのものと言えます。
余りにも多岐にわたるので、ここでは省略します。
2)自分の身体への指示を行うときに、強制的な指示を行わずに「起こることを許す」
アレクサンダーは自分のテクニークでは、「意識的なコントロール」を使うことが大事だと言っていましたが、それは、呼吸も含めたいろいろな動作を細かく指示して、筋肉を頑張らせるなどして無理やり行わせることとは真逆です。
人の身体は考えすぎるとうまく動けません。ある意味で子供たちの動きが良いのは、細かいことを考えないからです。
アレクサンダーの「意識的なコントロール」は、考えないで以前の方法で自分を動かしてしまう自分に意識的にストップをかけて、「それが自然に起こるように」するためにはどう指示したら良いかを学び、それができるようになることです。
呼吸で動く身体部分
皆さんは普通の呼吸を行っているときに、どの身体部分が主に動いていますが。
あまり意識することはないでしょうが、無理をしすぎないようにして、少し大きく息を吸ってみてください。
多くの人が胸を持ち上げたり、お腹を前に突き出したりします 。
このことを見て胸式呼吸や腹式呼吸という名前で呼ぶ人がいますが、実はこれはどちらも身体全体を使った動きではありません。
アレクサンダーは自分の呼吸方法を最初は「フルチェスト・ブリージング(胸全体を使った呼吸)」と呼んでいました。
ある医師はそれを、「肋骨呼吸」とか「背中呼吸」と呼びました。
アレクサンダーはそのような名前をつけることで、人がそれを無理に起こそうとすることを良くないと考えていて、その言葉を嫌いましたが、結果で見えることとしてはその表現が理解の助けになるでしょう。
アレクサンダーの呼吸法では結果として、肋骨の下の2つ、他の肋骨とつながっていない「浮遊肋骨」と呼ばれるものが動き出し、左右と後方への動きが生まれます。
昨日のクラスから
昨日のクラスは人数も少なかったので、一人一人についていつもより時間を取ってワークを行うことができました。
普通は、自分の呼吸以外の方法を知りませんが、ハンズ・オン・ワークを行うことで、いつもの自分とは異なる身体バランスを得て、異なった筋肉の使い方が分かります。
各参加者に、自分の呼吸の特徴に気づくことと、肋骨が横に広がって呼吸をする感覚を体験してもらいました。
実際の活動の中での呼吸
その後で、各自が自分の活動の中で、呼吸がどう変わるかについてワークを行いました。
瞑想を行うときには、瞑想の体勢になってから身体の調整を図るよりも、始める前にどう座るかや、立っているときの自分の状態がどのくらい影響するかに気づいてもらいもらいました。
朗読を行う場合なら、立ち姿勢や、本を持ち上げるときの腕の動作によってすでに身体に制約が起こり、胸の周りの筋肉が硬くなることで呼吸が浅くなることが分ります。
次回
今回は脚が行っていることで自分の呼吸に制約が生まれることにも、気づいてもらいました。
次回は腕が呼吸に与える影響を扱いながら、いろいろな場面で呼吸を改善することに取り組みます。
この回だけでも参加できますので、興味ある人はご参加下さい。
「呼吸全体を変えるアレクサンダー・テクニーク」