新しい3回シリーズが始まりました。昨日は8名の参加者で、そのうち継続の方が5名いらっしゃいました。
これは、継続的に学ぶことで意味があるので、長く続ける方が増えてきたことは良いと思います。

新しい方々も、中断することがあっても、何らかの形でこのテクニークを考えたり、続けていくことで変化を実感できることでしょう。

今回は特に特定のテーマは設けず、基本的なことに時間をかけていくことにしました。

アレクサンダー・テクニークとは何か、これを学ぶとは?

アレクサダー・テクニークで行うことは、結果だけを言えば非常に単純です。
「全ての活動を行っている間に、頭が脊椎から離れ行くようにして、脊椎が上から順番に、縮まることなくついていくようにする」
ということです。

しかし、この単純な結果を達成することは、簡単ではありません。
考えを変える必要があり、自分が行っていることに気づく力をつけていく必要があるからです。
それは誰にとっても根気のいる作業なので、学び続けるにはある程度の理解と、続けたいという意欲が必要です。

少しくらい役に立つというくらいでは、アレクサンダー・テクニークに必要な「考える」という面倒なことを続ける気にはなりません。
そのため、強く自分を変えたいという状況にある人は学びが早くなります。

 

演奏家などが、アレクサンダー・テクニークを学び始めることが多いのは、すぐに演奏の質が変わることを体験するからですが、多くの人はそのような動機を持てません。
わたしも含めて多くの人はそのような意欲を最初から持てないので、良く分からなくても(実は、良く分かるようでしたら、その人にとって新しくはないはずです)、何か自分を変えてくれそうだという確信を得る必要があります。

それは実体験からのこともあるし、他の人が変わることを見ることからかもしれないし、本を読んだりすることで得られる場合もあるでしょう。

いろいろな自己改善の方法を試してみた後で、一見するとノウ・ハウの寄せ集めのように見えるアレクサンダー・テクニークの手法が、本質的に他と異なることを理解することで、これを長く学ぶ気になることもあります。

そうすれば、長く続けることで、いつのまにか考え方が少しづつ変わり、身体の状態が大きく変わっていることに気づきます。

頭が胴体から離れて行くとは、どういうことか。

最初に書いた結果を達成するために、アレクサンダー・テクニークを使おうとするときには、自分に
「頭が動いて、身体全体がついてき、そうすることで(何かの活動や動き)を行う」
と指示を行います。
今回は初回なので、「頭が動く」ということについて理解してもらいました。

アレクサンダーは、舞台で声が出なくなることに苦しんだのですが、医師やボイストレーナーに見てもらっても改善せず、自分でその原因を探ることにしました。
彼が鏡を使って観察して発見した最も重要なことは、舞台で話そうとするときに
  「頭を後ろに引いてしまう」
ことでした。

彼は、その悪い動きを、最初は普通の会話のような話し方では観察できませんでした。
観察力が上がることで、後でそれが見えるようになったのです。

 

【頭の動きの観察】
時間をかけて、自分や他の参加者が、イスに立ったり座ったりするときの頭の動きを観察してもらいました。

多くの人の動きを見ることで、どのくらい一人一人が異なるかを理解したことと思います。

【頭を後ろに引かない動き】
その後で、わたしが一人一人にワークを行い、イスから立ったり座ったりする動きを変えたときの、頭の動きの違いを、参加者に見てもらいました。
頭の動きが変わったときに、身体全体の動きも変わり、座り姿勢が良くなったり、肩の違和感がなくなったり、呼吸が深くできるようになったりすることを見ました。
身体が軽くなったという感想も多くありました。

 

【頭が胴体から離れて行くことを妨げるもの】
一人々異なってはいるのですが、頭を後ろに引かせて、胴体から離れていくことを邪魔する要因のいくつかを挙げてみます。

■習慣になっている緊張や力み
・肩回りの緊張は多くの人に見られ、肩こり等の原因になっています。
・お腹に力が入っていることが必要だと思い、必要以上に固めている人が多くいます。
・胸をいつも持ち上げている人も多くいます。

■逆に、力の抜けすぎや弛み
・リラックスさせようとして、身体全体に適切なトーンが必要なのに、どこかの力を抜きすぎていることで起こります。
・猫背に見える人は、腹部の筋肉を全く弛緩させることで、働けないようにしています。
・日常生活で、腕全体を使うことが少なくなっている人は、腕がいつも頭を下方向に引っ張っています。

■イスから立ったり、座ったりするときの身体バランス
当然のことですが、身体がイスから離れているときは、身体の重心が、足の真上になければ、どこかの筋肉が緊張してしまいます。

 

【頭の動きを考えながらイスに触れた後で、その後で行う動きを観察する】
後半で、これも行ってもらいました。
詳細はここでは省きますが、これは自分の姿勢の習慣が出る所なので、とても重要です。

ほぼ全ての人が当然座るときにそうすうだろうと思っているものは、必要でなくて、自分の健康を害しています。
「どう座るか」を学ぶことで、努力して良い姿勢を保とうとする必要もなくなります。(努力して保つ姿勢は、身体を悪くします。)

 

一人々は全員違っている

今回の参加者に、以前に乗馬を行っていたという方がいらっしゃいました。
座っている姿勢での脚の使い方が、明らかに他の方とは違っていました。
そう思って、参加者みなさんの座っているときの脚の使い方を見るだけでも、それぞれ違っていることが分ります。

わたしたちは、これまで体験してきた内容に応じて、それぞれがとても異なった身体の使い方をしています。
そして、他の人に有効な方法は、別の人には害になることも良く起こります。
そのため、自分の特徴を知ることが必要です。
アレクサンダー・テクニークで必ず個人にワークする時間を取るのは、自分の癖はなかなか自分では気づけないからです。

朝日カルチャーのこの講座は途中からでも参加できます。興味を持たれた方はぜひ参加してみてください。

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