新宿朝日カルチャーの月1回の3ヶ月シリーズ「声を楽に使うためのアレクサンダー・テクニーク」が先週始まりました。
今回は12名の参加、7名が初めての方でした。

新しい参加者のうち、歌での声の改善に関心がある方が3名、朗読などで声を使うことに関心のある方が1名、その他は、人前で話すことや普通の会話で声を使うことの改善したいとのことでした。

継続の方たちは、声への興味と共に、アレクサンダー・テクニーク自体を使い続けて自分の身体の使い方を改善することに関心を持たれていました。

いつも使い続けるものとしてのアレクサンダー・テクニーク

アレクサンダー・テクニークは、生活の中に徐々に今までと違った自分の使い方を織り込んで行くので、継続的に学び続けることで徐々にその考え方が身体に浸透します。

クラスでは毎回、テーマに関することでの変化を体験しますが、その変化が徐々にその人の最も基本な部分に作用し、1年~2年のうちには何かがか変わっていることに突然気づきます。
(少しずつ起こっているときには、自分の感覚がその変化を捉えることができないことは、人の特性として興味深いことです)

わたし自身も、すでに13年学んで使い続けていますが、今でもときどき色々な面で思いがけない変化が起きていることに気づきます。

これはアレクサンダー・テクニークが、何かを達成するためだけの手段ではなく、それを使い続けることで、いつも自分に進歩と変化をもたらしてくれるものだからです。

 

身体の動きを観察すること

わたしたちは、人それぞれの動きは当然違っていると思っています。それは個性だ、などとも言ったりします。
そして、なぜ違うかを考えたりはしません(考えても普通は分からないですから)。
でもそれが、病気にかかり易い人とそうでない人の違いの原因だったり、肩こりなどを起こす原因だったり、仕事を行うときの効率に影響していたり、気分に強く影響しているとしたらどうでしょう。
それを変えることが、呼吸などにも作用して、生き方の感覚が変わるとしたらどうでしょう。

アレクサンダー・テクニークを学ぶことで、そのような理解をするようになります。

学ぶ初めは、何かができることではなく、人の動きは一人一人違っていて、その違いには何かの意味があることに気づくことです。

そのため今回のクラスでも、最初に参加者のみなさんに、自分と他の人を観察することを勧めました。
少なくとも、この3ヶ月の間は続けてもらいたいと思います。

そうすると、ある動きを、なぜ、自分は他の人と違うように行っているのだろうか?
なぜ、あの人は自分と違う座り方をしているのだろうか?

などと考えることができて、脳が少しずつそのような作業を行うことに慣れて行きます。
何でも新しいことを自分に行わせるためには、特に最初は、意識して時間をかけて継続的に行う必要があります。

これは、もちろん身体の使い方だけではなく、心(精神)の使い方にも言えますが、それはもっと繊細な観察と注意が必要なので少し上級編です。

 

今回のクラスでは、3人ずつのグループで、一人一人が声を出すまでにどのように準備をしているかの観察をしてもらいました。

どれが良い動きかを観察できること

そうはいっても、最初に観察するときには、それほどは見つけられません。
どの動きが効率的で、どれがそうでなくて、無駄に力が入りエネルギーを非効率的に使っているかが分かりません。

でも、違いが起こるときは、多くの場合でそれが分かります。

今回は後半で、3人の方に 歌や朗読、人前で話すことを行ってもらいました。
それぞれ、初めに、その声を使う最初の部分を行ってもらい、その後でわたしが1~2 分ワークしもう一度行なってもらいました。
そのときには、声がより大きくはっきりと明るくなっただけでなく、身体の使い方が良くなったことを、他の参加者は分かったのです。

これはとても、とても大事な点です。
最初に見たときには判断がつかなくても、ワークの後では、その動きが良くなったことについては初めて参加された方も理解できるのです。
もちろん思い違いもあって、正確ではないのですが、アレクサンダー・テクニークを学ぶ前からそれができることに、わたしはいつも驚きます。

誰にもその力があるのですが、それは使って訓練して高めていく必要があります。
そうすれば、そのようなワーク前と後ではなく、普通の状況での他の人の動きをみても気づくようになります。

そしてさらに難しいことに、自分の動きにも気づけるようになります。
こう書くのは、実は自分の動きについて気づくことの方が難しいからです。
それはワークを受けて、ワーク前と後で自分の動きに変化が起こっていても、自分では気づけない場合も多いからです。
それが人がなかなか変われないことの原因なのですが、長くなったので次回のブログに回します。

 

朝日カルチャーのこの講座は途中からでも参加できます。興味を持たれた方はぜひご参加ください。
次回の2回目は、声を使うときの身体の使い方に加えて、普段意識していないことについての考えを変えてみます。
声を直接変えようとしないのに、声が大きく変わることを実体験できることでしょう。
それには、聞き手が感動を感じたり、聞きやすい好ましい声だと思うことも含まれます。

朝日カルチャーで行った内容についての過去のブログ