(2)マージョリー・バーローの教え方の特徴
決別はしましたが、マージョリーは叔父のアレクサンダーの教えを、とても価値のあるものとして、大事に思っていました。
彼女の本を読むと、それが良く伝わってきます。
マージョリーは、できるだけFMの教え方をそのまま伝えたいと思っていました。
何と言っても彼女は17歳の頃から結婚するまでの間の8年間を、最初は個人レッスン、次に教師養成トレーニング、さらには卒業後も残って教えて、FMと一緒に過ごしたのです。
単に生徒としてだけでなく、姪として、週末のペンヒルでの時間も一緒に過ごすことが多く、FMの生活での態度を、とても節度を保ったものと評価していました。
アレクサンダーも、マージョリーをとても気に入っていました。
第二次大戦が終わった後には、二人だけで休日に一緒に乗馬にも行っています。
マージョリーは、そのようなトレーニング以外の親しいふれ合いの中で、アレクサンダーから受け取るものが大きかったと言っていました。
40年近くアレクサンダーのすぐ側にいたエセル・ウェッブは別格ですが、FMの教えを最も長く見ていたのは、マージョリー・バーロー、マーガレット・ゴールディー、アイリーン・ステュワート(以上は、第1期のトレーニー)、晩年を見ていたウォルター・キャリントンだと思われます。
このなかで記録を残しているのは、マージョリー・バーローと、ウォルターだけなので、その内容はとても貴重です。
マージョリーは、アレクサンダーの教えをできるだけ忠実に守ろうとしましたが、それでも、彼女が育てた先生たちはそれぞれ異なっていました。
そのうちの数人からワークを受けた生徒が、ワークの仕方がとても違っていた、と言っています。
教える内容は、チェアワークやライング・ダウンなど共通でも、その内容については、一人一人に考えさせたと言う点で、FMの基本方針に沿っていたのでしょう。
彼女は、ウォルター・キャリントンのようにいろいろと新規な内容を取り上げることを嫌い、FMが行っていたことに沿って教えていました。
それらを応用として捉えずに、「基礎」で共通のものと考えていて、「純粋なアレクサンダー pure Alexander」と呼んでいます。
また、FMの教えから外れないためには、FMの著書を読むことが大切で、読み返すたびに新しいことが見つかる、と言っていました。 マージョリーのトレーニーは、FMの本を読み、ディスカッションを行いました。
レッスンでいろいろなことをやることは嫌いながら、テクニークを日常生活で使うことの重要性は、とても強調しています。
(これについては、次回に書きます)
マージョリー・バーローは、マージョリー・バーストーのグループワークには否定的でした。
マージョリーはあるとき、グループワークが行われているのを見て、そのとき教えている内容については、悪いところはない、と言っています。
でも、教える方法としては、最初は、個人レッスンで始めるべきだと考えていました。
教師養成コースでは、グループワークだったわけですが、それを始めた生徒たちは多くの個人レッスンを受けた後で始めていたからです。
(3)マージョリ・バーロー関連の本、DVD
【書籍】
(1)「An Examined Life In conversation with TREVOR ALLAN DAVIES」
2002年 Mornum Time Press 333ページ
300ページを超えるこの本は、アレクサンダー教師のTrevor Allan Daviesのインタービューという形で書かれています。
目次も、索引もないため、情報を探そうとすると大変なところがありますが、分かり易い英語で書かれています。 随所に、参考になる記述がありますので、ぜひ読んでみてください。 (次回のブログでこの内容について書きます)
(2)「Alexander Technique:the Ground Rules Marjorie Barlow in conversation with Sean Carey」
2011年 hite 152ページ
(1)の「An Examined Life」の後に、Sean Careyがそれを補う形で行った1998年のインタビューをもとに書かれています。
これも(1)と同じインタビュー形式です。
マージョリーがどのようにしてレッスンを始めたか、最初の教師養成コースはどうだったか、アレクサンダーが行った、モンキー、ハンズ・オーバー・ザ・バック・オブ・ア・チャア、ライング・ダウン、ウォールワークなどの詳細が書いてあります。
(3) 「Think More Do Less」Sean Carey 2014年 hite 214ページ
Sean Carey が(2)の本に続いて、マージョリーが教えたことを中心に詳しい説明を行っている本です。
これは、インタビュー形式でないので、より客観的に書いています。
Sean Careyは、彼自身が受けた他の第一世代教師からの情報や、その著作の情報を盛り込み、彼自身の見解も加えています。
(2)よりページ数が多く、本も少し大判なため、多くの情報を得ることができます。
【DVD】
(1)The First International Congress(New York 1986) David Reed Media
マイケル・フレデリックにテーブルワークを行っています。
(2)Marjory Barlow Regent’s College 1998 David Reed Media
生徒の初回レッスンのデモンストレーションを行っています。
テーブルワークや、ウィスパード・アーを見ることもできます。
(3)Marjory Barlow Freiburg 1999 David Reed Media
つま先立ちや、壁を使ったワークを実演しています。
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