アレクサンダー・テクニークと呼吸と声はとても関係深いのですが、今回はその関連でわたしの手元にある主要な書籍を紹介させて頂きます。

1. アレクサンダー自身の本

 初期の頃は「ブリージング・マン」と呼ばれて、呼吸について宣伝していたアレクサンダーは、多くの文章を書いています。

1)「1910年に出版した「人が受け継いでいる最高もの」

この本には1907年の小冊子「呼吸の再教育の新しい方法の理論と実践」(本文19ページ)の内容をそのまま載せています。

2)1923年出版の「個人の建設的で意識的なコントロール」

彼の2冊目の本ですが、このパート2のハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェアの説明の次の章に「呼吸メカニズム [Respiratory Mechanism]」の章を設けています。
ジーン・O・フィッシャー(アレクサンダー関連の書籍を出版しているモーリッツ社を作った人)は、こんの説明が最も洗練されていると言っています。

3)1906年の小冊子「呼吸と声の再教育を行う新しいメソッドの紹介」

 1)で紹介した1907年の小冊子の前年の1906年に出したものです。彼が呼吸で何を観察しているかが良く書いてあります。この2つの小冊子は、ほとんど重複が無いので、両方読むことをお勧めします。この小冊子は「ウィスパード・アー」がささやき声でなくてはならない理由を説明しています。(細かい手順を書いているわけではありません。それはフランク・ピアス・ジョーンズ の「Freedom to Change」 またはマージョリー・バーローによる説明が載っている「シンク・モア・ドゥ・レス」を見てください。

この小冊子は「アーティクルズ・アンド・レクチャーズ [Articles and Lectures」の本で読むことができます(この本は、現在翻訳中です)。 

(2)テオドーラ・ディモンの「Your Body, your voice」

  ディモンは、現在F.P.ジョーンズが所有していた資料を管理しているハーバード大卒業の有名なアレクサンダー教師です。
わたしは、アイルランドで行われたアレクサンダー・コングレスで2日間の連続レクチャーを聴講しました。 終わってから簡単な質問をしたときに、丁寧に答えてもらったことを覚えています。
ディモンは多くの本を書いていますが、どれもまとまった分りやすい書き方をしています。

 この本(2011年発行)は、声だけでなく呼吸の章もあるし、それらの仕組みについての良い図と、ライング・ダウンや、ハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェアに近い姿勢でウィスパート・アーを行うことなども書いてあり、アレクサンダー・テクニークとの関連を最も良く学べます。

  彼はこの本の出版の後に、一般向けに(つまりアレクサンダー・テクニークに触れずに)発声に関わるいろいろな器官や筋肉を図解した本「Anatomy of the Voice」(2018年)を出版しました。
とても図が見やすいので、構造を知るためには良いと思います。
(こちらの本は日本語訳が出ていました。「イラストで知る 発声ビジュアルガイド」というタイトルです。)

 

(3)ジェシカ・ウォルフ 「Art of Breathing」

呼吸について教えるアレクサンダー教師として、現在のアレクサンダー界で最も有名な人です。

本は、50ページ弱の薄いもので、彼女は肋骨の動き、関係する筋肉映像にした18分ほどのDVDも作っています。
このDVDは今は入手できないかもしれません(1分ほどの抜粋はYoutubeで見ることができます)。

(4)ブランディーヌ・カレ・ジェルマン
  「Anatomy of Breathing」(232頁)
        「Anatomy of Voice」(302頁)

最後にこの2つの本を書いたのは、アレクンサンダー・テクニークとは関係ないからですが、本当は最初に紹介すべきとても良い本です。
文がそれほど多いわけでなく、図が多く載っています。

 この筆者の名前に見覚えのある方がいることでしょう。BodyChanceでテキストに使っている「動きの解剖学」の著者です。そのためこの2冊とも本のレイアウトは「動きの解剖学」に似ています。
英語がそれほど読めなくも、図だけでもとても参考になると思います。

坂戸ワンデイWS

第5回の坂戸ワンデイは「呼吸」で、第6回は「声」です。

ATの基礎と言える「呼吸」と「声」に関して、関係する身体の構造を知り、アレクサンダーが何を観察したかを見ていきながら、声と呼吸が本当にコーディネーションに左右されることを実体験します。

実際の横隔膜の動に(ストウ作成)や、今回取り上げたジェシカ・ウォルフのDVDの一部も観ます。

http://yasuhiro-alex.jp/sakado_1day/
この内容は、5月末に梅田でも行います。関西の方はこちら(http://yasuhiro-alex.jp/kansai-ws/)にご参加ください。