BodyChanceのプロコースで教えるアレクサンダー・テクニーク教師ヤスヒロ(石田 康裕)のページです。テクニークの歴史や役立ち情報など多くを載せています。教育分野(学校の先生など)での応用にも力を入れています。ヤスヒロは、埼玉・東京でのレッスン、出張レッスンを行っています。機械工学修士で27年間、高校で教えました。

アレクサンダー・テクニークとは何か

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(1)アレクサンダーが見つけた「人の身体の特性」

アレクサンダーが見つけたことは、人は、
「自分の身体を縮めないで、長く広がるように使うときに、楽に動けて、身体と精神の機能を最大限に発揮できる。」
ことでした。

わたしたちは、日々の生活でその反対をしようとします。
「頑張ろう」とするとき、「人間関係や仕事でストレスを感じるとき」に、自分ではそれと知らずに身体を固めてしまいます。
そうすることと、そこから戻れないことで、身体的には、肩こりや腰痛、関節痛などの障害が起こり、呼吸が浅くなり、精神的にも重い気分を持ち続けて、ノイローゼやうつ病などの精神疾患に至ります。
アレクサンダーレッスンを受けると、いかに全ての人が身体を縮めて使っているかが分かります(そのため身長が伸びる人が多くいます)。

でも、どうしたら身体が楽に、長く広がるように使うことが出来るのでしょう。
アレクサンダーが天才的だったのは、頭の動きが重要だということを観察し、気づいたことでした。
彼は、俳優として「声枯れ」が起こることをなんとかしようとしたのですが、
頭の動きに最初に着目し
「身体が長くなることに頭の動きが関係し、身体が長くなれば、声が良くなること」
を見つけました。

「頭が身体から離れていく」(アレクサンダーの言い方では「頭が前へ上へと向かう」
ように、身体を使うことができれば、
「背骨全体が長くなろうとする力の流れ」
が起きます。
そのときに、それを妨げることなく
「身体全体がついていけば」(アレクサンダーの言い方では「背中が長く広くなれば」
身体に下向きの力は起こらずに、どこかに負担がかかることがなくなります。
「長くなろうとする力の流れ」は身体の全ての筋肉を協調的に働かせ、呼吸を改善し、仕事や日常生活やパフォーマンスを行うときの腕や脚の動きを良くします

人の頭の動きは、誰でも分かるようなはっきりした動きもありますが、多くの場合は、なかなか気づけない小さなものです。
経験を積んだアレクサンダー教師にしか見えない動きがあり、それが背骨を押し縮めようとする動きを作ると、身体的にも、精神的にも支障をもたらし、人の生活を苦しいものにします。

アレクサンダーは、この「身体的な特性」を見つけましたが、それでも、うまくいかないことが多かったのです。
自分の身体に長い間かけて培ってきた「習慣」の力はとても大きく、それに対処するために「人の精神の特性」について考えたことが、彼のさらなる大きな発見を生み出すことにつながりました。

・身体は、機械部品のような固い部品を組み合わたものではなく、身体を構成する要素がお互いに関係を持ちながら働いています。
その理解を助けるものの一つに「テンセグリティ構造」があります。「テンセグリティとアレクサンダー・テクニーク」を見てください。

(2)アレクサンダーが見つけた「人の精神の特性」

わたしたちは、何かの動きをするときに、「どのように自分の身体に指示を出すか」について意識していません。
多くの場合で、自分の「習慣」に任せて動いています。
うまく行っているときは良いのですが、自分を変えたいときには邪魔になります。

アレクサンダーは、声を出すときの自分の「使い方」(アレクサンダー・テクニークでは「ユース」と言います)を変えようとしましたが、望ましい動きを知っていて、そうしたいと考えているのに、彼の身体は異なる動きをしてしまうのです。
習慣的、つまり潜在意識的に身体が動いてしまうことを、変えることが出来ませんでした。

それは慣れたやり方が「しっくり」くるからで、違ったやり方をしようとすると、「変で、間違った感じ」がするからです。
自分にとって「しっくり」して、正しく感じられるようにすると、それは実は、前の習慣的なやり方に戻ることでした。

頭の中で言葉で考える内容は一つですが、脳は多くの活動を並行して行い、身体に多くの無意識的な指示を出しています。
その幾つかを変えようとしても、他の指示が脳から自動的に出されるため、わたしたちは習慣的な動きに戻らざるを得ません。
興味深いことは、「望んでいない習慣的な動きに戻るときには、必ず、頭が背骨を短くするように動いている」ことで、外からそれを観察することができます。

人が何かをやろうとするときの「思い」と、「脳からの身体へのいろいろな指示」は、切り離せないもので、それが動きを作り出します。
アレクサンダーは、この意味で人は「心身統一体」だと気づきました。
ここでいう「思い」は、ただ「考えている内容」だけでなく、「こういう感じで行いたい」というものも含まれます。

立っていたり、座っていたり、パソコンを使っているときに、誰もがその人に特有の「思い」を持っています。
それが、多くの潜在意識的な身体への指示を行うため、特徴のある振る舞いをさせます。
ときどき、わたしたちは、顔を見なくても、その人だと気づくことができるのはそのためです。
他人の動きをそっくりそのままに真似ることがいかに難しいかは、試してみると分かるでしょう。

ある動きを、なめらかに行う人と、ぎこちない感じで行う人がいるのは、その動きの「思い」が異なっているからです。

「頭が身体から離れて行く」という身体の特性にあった動きも、直接的に起こそうとする「思い」を持つと、身体に負担が起こります。
アレクサンダーが気づいたことは、身体の動きを本当に変えるためには、「思い」にアプローチしなくてはならないことです。
彼は、そこで行うことを「シンキング」と呼びました。
自分が何かの活動を行っているときに、シンキングを行うというアレクサンダーの方法を、彼のレッスンを長期に渡って受けた有名な哲学者のジョン・デューイ「シンキング・イン・アクティビティ(活動の中で考える)」と名づけ、アレクサンダーも好んでこの言葉を使いました。

アレクサンダー・ワークのレッスンに来ると、先生の助けにより動きが2~3分で魔法のように良く変わることを見ます。
始めてレッスンに参加した人にもそれが起きます。
身体はすぐに、変わる能力を持っているのです。
しかし、自分でそれを持続できないことが多いのは、この「シンキング」の部分、つまり「心」の部分を変えることには間がかかるからです。

この「心」は、心理学が扱うような複雑なものでなはく、自分の動きや思いを観察し、動きについての指示をどのように与えるかについてです。

アレクサンダーは、人が持つ「考えずにすぐに身体を動かしてしまう」特性にも気づきました。
わたしたちは、すぐに動いてしまわずに、それを行う前に時間を作ってシンキングを行い、その行動を行う間もシンキングを行う必要があります
それは意識の改革で、従来の学習に対する考えも大きく変えるものでした。

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