先週金曜からの新しい講座は、歩きについてです。

登録は5名でしたが、1名欠席されたために前回の出席は4名で、いつもより一人ずつのワークに時間を取ることができました。

その1回目の概要に、少し追加を加えて書いてみます。

1.歩くことを観察する

自分がやっていることについて、わたしたちは良く分かっていないことが多いのですが、その一つが歩きです。
どこから動きを始めているかを、意識していない、という方が大半です。

最初に次のように指示して、参加した方々にそれを行ってもらい、自分を観察してもらいました。

「歩き出して、歩いて、止まり、
 また歩きだして、歩いて、止まり、
    :            」

最初は大して観察できませんが、他の人の歩き方を見たりしているうちに、徐々に自分の特徴を観察する力がついてきます。
自分の歩き方の特徴が何かを、これからも観察し続けていってもらいたいと思います。

2.立つ姿勢や、座る姿勢は、歩くことに大きく影響する

立っていたり。座っていたりする姿勢は長期的には、歩く姿勢にも影響します。
そのような動かない姿勢を長く続けることで、どこかの筋肉を縮めたままにする癖がついてしまうからです。
座り仕事が多い人は、太腿の裏側や背中の下部の筋肉を緩めて脱力の状態にしてしまい、それが習慣化することで、立ち姿勢や、歩き姿勢を変えてしまいます。

観察の練習と、自分の立ち姿勢の特徴を知るために、今度は、止まるときに注意を向けて見ます。

「歩いて、止まる、
 また、歩き出して、止まる
     :       」

歩いている状態から、止まって、立ち姿勢を取るときに、どこかの力を抜いていることに気づいたでしょうか。
脚を固め出したことに、気づく人もいることでしょう。

もちろん、ときどき鏡で立ち姿勢を見ることも有効です。
みなさんは、立っているときと、歩いているときとで、姿勢はどのくらい違っていましたか?

3.「力を出している」と考えているときには、ただ筋肉を固めている

次のことを試してみて下さい。
「立った状態で、片足で強く床を押しつ続けてみる。」

うまく、できましたでしょうか。
次に、こうしてみます。

「立った状態で、片足を上げるだけで、もう片方の足に自然に体重が乗るようにする。」

どの位、足が床を押しているかが変わったでしょうか。
物理学の力の釣り合いは、上の2つの方法で、1番目の床を押している力は、2番目のもの以上にはならない(1番目では、もう片方の足は床につけているので)変わらないことを教えています。

わたしたちは、無駄な努力を知らずにしているのですが、それは歩くときにも当てはまります。

4.アレクサンダー・テクニークとは何か

アレクサンダー・テクニークにはいろいろな目的がありますが、その一つは、わたしたちが日常生活で行っている、無駄な努力を取り去ることです。
クラスでは、わたしがそのような例を見せました。
  ・身体に無駄な力を使って、イスから立ちあがる。
  ・身体に下方向への引き下げを行いながら、歩く。
  ・机に座って何かを書くときに、身体を引き下げ、手や腕を固める。
       :

程度は異なりますが、これらを、周りの人たちが普通に行っていることが分ります。

これを防ぐために、アレクサンダー・テクニークでは、頭の動きと、それについていく身体の動きを考えます。

普通の人は、頭がいつも下がろうとしていて、身体を縮めているからです。

5.意識を頭に向ける

今回は、意識を向ける(考えるとも言います)練習を行ってもらいました。

 1)目を閉じてから
   「お腹のことを考えてみる。」
   「次に、つま先を考えてみる。」
   「次に、頭のことを考えてみる。」
   (頭についての説明を行っていますが、ここでは省きます。)

多くの人が、「お腹」は考え易いのですが、「頭」については、それほど簡単ではないでしょう。
人によっては、これをかなり練習する必要があります。
わたしたちは、身体の下の部分を考えることには慣れているのですが、頭についてはそうではないのです。

2)次に目を開けて、同じことを行います。
   「お腹のことを考えてみる。」
   「次に、つま先を考えてみる。」
   「次に、頭のことを考えてみる。」

「頭」を考えるときに、身体のどこかを動かそうとしたことに気づいたでしょうか。
特に、目で上の方を見たりしていないでしょうか。
意識だけでできるように、練習してみてください。

6.クラスの内容から

今回は、参加者一人一人について、15分以上ワークできました。
頭を身体に対してどう使うかは、誰に対しても共通ですが、人の癖はそれぞれだし、状況も違うので、個別に対処する必要があります。

始めて参加した人の一人は、多くの人がそうなっているように、後傾になって歩く癖がありました・
それを取ると、とても前傾しているように感じる、ということを見つけました。
(そのように、良い姿勢を間違ったものと感じてしまうために、自分ではなかなか実行できません。その姿勢の方が早く歩けることは、すぐに分かってもらいました。)

半身にマヒのある、杖を使って歩く参加者は(継続して来てもらっています)、頭と身体と脚に連続的に指示を与えることで、全体の動きが楽になることを体験してもらいました。走ることもできそうだ、という感想を言ってもらっています。

 

次回について

次回の11月15日(金)も、この続きです。
復習も行い、今回体験した楽な歩き方を、少しずつ自分でできるようにして行きます。
途中参加もできますので、興味を持たれた方はぜひご参加下さい。
「アレクサンダー・テクニークで歩きを楽に」

朝日カルチャーで行った内容についての過去のブログ