遅くなりましたが、今月(7月)21日から始まった新宿朝日カルチャーセンターでの3ヶ月講座「目の疲れを防ぐアレクサンダー・テクニーク」の1回目について書きます。

視力は1つではない

高校教員時代に、学校のコンピュータ管理やいろいろなパソコン処理を担当する分掌にいたので、年に一度視力検査を受けるように言われたことがありました。
そこで、初めて、30cm、50cm・・・など(正確な値は忘れましたが)、遠さの異なる対象での視力検査を体験しました(実際は、検査機器を覗き込んでいるだけで、設定を変えてそれが検査できるようになっていました)。
視力は、いつも行う3m離れてのものだけではなかったのです。

その後、ピーター・グルンワルドの京都での眼の合宿に参加したときに、自分の眼が、両方でとても異なっていることを初めて知りました。
片方の眼が主に近く(本の文字など)を見て、もう片方の眼が遠くを担当していたのです。
それは驚きでした。
(みなさんも、簡単に試すことができます。
片方の眼を手で覆い、近くの本か何かの文字の見え方を確認し、次に遠くを見て、できれば文字を探し、その見え方を確認します。
その後で、覆っている眼を変えて、もう片方の眼で同じことを行います。
わたしの場合は、近くを見ている方の眼は、遠くの視力が悪く、遠くが良く見える眼では、近くが見えづらくなっています。)

当たり前に使っている自分の眼について、分ればこんなに明らかなことに、気づいていなかったことも驚きでした。
(それを知った後でも、やはり片目を塞がなければ、自分がそのように見ているという意識はありません。)

視力は一定していない

 以前は眼の良かったわたしも、年齢を重ねるにつれて少しずつ見えづらいことに気づいてきました(それでも、周りの人に比べれば、衰えは遅いとは思います)。
自分の視力が、ある意味で敏感になってきたら(無理がきかなくなった、ということですが)、いろいろな状況の変化で見え方が大きく変わることも感じてきました。

今わたしが自分の眼で、起こることには次のものがあります。
・甘いものを取り過ぎると(ショートケーキ2つくらい)、眼は見えにくくなる。
・書類に記入しようとするときに、ペンを強く握って書こうとすると、途端に書類の字がぼやける。
・座ったり立っているときは、読める距離の本も、横になって読もうとするとぼやけてくる。
・翻訳作業で、1日4~5時間を本やコンピュータを見続けることが何日も続くと、眼がすぐに疲れるようになってくる。
・EXCELで表になっているデータで、眼で表を追うこと名前などを探そうとするとすぐに疲れてしまう。

また、良くなるときもあります。
・散歩をして40分くらい歩くと、急に視力が良くなったと感じるときがある。
・本の本当に読みたいと思う箇所があるときは、良く見える。
(本当に読み痛いという気持ちが続かないので、長続きはしません。
逆に義務に感じたり、難しいと感じる所は、見えにくなります。)

これらは、他の人に聞いても余り意識していないことが多く、個人差はあるようです。

これらを書いたのは、視力は1日の中でもかなり変動するし、何を見ているかによって変わるので、みなさんに自分の見え方を観察してもらいたいと思ったからです。

また、自分の見え方に注意を向けていないと、その変化に気づけないので、眼が悪くなる状況を見つけて、それを避けるようにすることもできません。

【実験】
参加者に、ポイントの異なる文字や、同じポイントでも行の間隔を変えたもの、横書きになったもの、縦書きになったもの、を見てもらい、その見え方の違いに気づいてもらいました。

今回は行いませんでしたが、眼の振れ幅の違いによっても、見え方は異なります。
ページ幅が同じでも、1段組と、2段組だと、2段組の方が文字がはっきり見えることでしょう。

眼が見るしくみとアレクサンダー・テクニーク

最近の脳科学では、人が見るということは、眼の機構だけでなく、かなりの部分が脳の働きだということを解明しています。
その関連については、次回以降に触れることにして、今回は実際の眼球周りのことについて考えます。

伝統的な眼科の医学知識では、水晶体(レンズ)の歪みと、その水晶体の調整を行う毛様体の働きの調整の悪さが眼が悪くなる原因と考えられています。
眼の改善に関わるベイツ・メソッドの提唱者のベイツ医師は、それとは異なり1つの眼球を動かす6つの筋肉の役割がとても大きいと考えました。
(眼球周りの6つの筋肉は、ぜひインターネット等で調べてみて下さい)

いずれの考え方が正しいにせよ、前項で書いたように、わたしたちは自分の眼の見え方に実際に起こっていることに注意を向けることができて、そこから、自分の視力の回復を考えていけます。
アレクサンダー・テクニークは、身体の様々な機能の向上のために役立ちますが、それにはもちろん眼も含まれます。

眼球の周りにある6つの筋肉が行う精密なコントロール

目の構造は、とても精密なコントロールを行なっていることは、余り知られていません。
人の他の器官、特に頭の動きを検知する耳の奥にある器官と密接な関係を持っていて、それはを簡単に試すことができます。

【実験】
(1)本か雑誌、新聞など何でも良いので、字が書いてあるものを目の前に置き、その文字を見ます。
(2)その文字を見続けようと思いながら、自分の頭を小さく左右に振り続けます。
(3)その文字は、まだはっきり見えるでしょうか。

普通は、頭を振ってもはっきり見えるはずです。
それが起こる理由は、頭が動いても、眼は空間の中で止まっている、つまり眼の周りの筋肉が眼球が文字を見続けるように、筋肉を精密に動かしているからです。

友人か家族にこの実験を行ってもらい、眼球の動きを観察してみて下さい。
本当に眼球が文字に対して固定している(空間の中で止まっている)ことが、分ります。

この実験を行うときに、みなさんはどんな意図をもっていたでしょうか。
眼を動かそうとする意図では無かったことでしょう。

このことは、人の身体を効率的に動かすときに、とても重要で、アレクサンダー・テクニークを使うときに知っておくべきことです。

長くなったので、続きは講座の2回目(8月30日)が終わってからまた書かせて頂きます。

 

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