私は受験勉強が長かったせいか(高専という5年制の高校だったので、3年生から5年生までと、大学3年編入のための浪人期間の半年間、受験勉強が続きました)、その間とても座っていることが長く、座る生活という癖をつけたのだと思います。
その後の修士課程までの4年間、とさらには製造会社で生産技術職だった5年間も、仕事でも当時の社員寮で何をしているときにも、机に座っていることが多く生活の中心は机でした。テレビを置くようになっても、机に座って見ていればよい、と思っていました。
その当時も緊張は良くないと言われていて、時代はリラックスすることを推奨してもいたので、それが脱力に結びつきました。年齢的なこともあって、わたしの内臓はいつの頃からかだんだんと緩み過ぎてスライムみたいになる時間が多くなっていた、のだと思います。 
幸いに、30歳で会社をやめて高校教員になったときに、先輩教員から駅伝に出るように言われました。
6年の間11月頃から1月の末の「奥武蔵駅伝」(埼玉で行っている駅伝です)まで、月、水、金の放課後 3kmのウォーミング・アップの後に5kmほど走ることをやったので、なまった体を少し鍛えることができました。
それがあったために、しばらくは走っていなかったのですが、40代の半ばに3年間トルコで仕事をしたときに走ることを再開できました。
もちろん教員の仕事は、立って話すことが多いので、ずっと座り仕事をするより身体に良く、そうでなかったら身体の衰えはもっと早かったことでしょう。
そうやって少しは鍛えていても、仕事をやっていないときに内臓を弛ませることが、習慣になっていたのだと思います(それは徐々に座って仕事をしているときにも入り込んでいきました)。あるとき電車の中で、やや疲れていたので眠ろうと思ったときに、準備として腹部を緩めようとしていることに気づいたことがありました。
 トルコから帰った翌年の2005年にアレクサンダー・テクニークを始めたのですが、自分にうまくできない動きがあることに気づきました。
イスに座って前傾と後傾をする動きです。
股関節を使ってその動きを行うと言われても、とても身体が抵抗します。
机に座って手を伸ばして何かを取るときにも、パソコン仕事を行うときにも、内臓を含む腹部が動こうとしないわけです。
これは本当に長期的な課題でした。
股関節周りにある深層六筋と呼ばれるものの中にある筋肉が、胴体を持ち上げていると言われても、それをどう働かせば良いか分りませんでした。
考えてみれば、アレクサンダーもマージョリー・バーストーも、イスの上で前傾、後傾する動きを使ってワークを行っていたので、これはアレクサンダー・テクニークでも基本と言えそうです。 
「頭―首―背中」をどう使えば良いかについて、理解が深まり、頭の動きが首と背中の動きにいつも良い影響を与えるようにすることがある程度できるようになって、改善して行きましたが、その旅はいまでも続いています(今年で17年目ということです。)。
そのことが分り出すと、自分に対しても、また他の人を見るときも、座るときに腹部のトーンを崩して(脱力して)しまうことも見えてきました。
その部分が、「頭―首―胴体」の引っ張りを受けて適切なトーンを維持することで、腕や手の使い方を良いものにしてくれます。
 
第9回の坂戸ワンデイ・ワークショップ「字を書くときの意識と動きを変える」では、このイスでの前傾・後傾を行う動きも含めた座り方全体について、まず扱い、それをもとに、徐々に腕や手や指の動きに移っていいきます。
 参加希望の方は、http://yasuhiro-alex.jp/sakado_1day/ からお申し込みください。
各個人へのワークの時間を多く取りますので、定員は6名です。