ファシアレクチャーの第2回目が終わりました。
参加者のみなさん、お疲れさまでした。
とても楽しいレクチャーで、3時間があっという間に過ぎました。
同じ内容を、12月初旬に梅田で、さらに12月末にオンライン開催も行いますが、その前に行った概要と参加者の感想を報告させて頂きます。

今回はタイトルにある通り、まず感覚入力を扱いました。
感知の部分だけでなく、身体の神経システムがそれと、運動制御を行う基本的な仕組みを知っておきたいと思ったので、それをまとめてみることにしました。
わたし自身が明確なイメージを持てるようにと時間をかけて資料を作ったので、そこそこの内容を提示出来たと思っています(今回の資料は22頁になりました)。
もう一つの大きなテーマは、胴体から脚にかけての張力ネットワークを構成するファシアです。
わたしは、今年に入って、実際の人体解剖のWebinarを2回(2時間×8回と2時間×4回)受けました。
それらを見ると、普通の解剖学が示している図は、特に深層ファシアと腸脛靭帯、支帯の部分で実際の身体とは違うことが分ります。
その実際の構成の知識を元にして、ファシアを考慮しながら中腰になる動きを調べてもらいました。

最後に行ったアンケートでは、12名の参加者の内で9名の方が、「第3回もぜひ参加したい」に✓を入れてもらえたので、ある程度参加者の方々も、これらの内容を楽しんでくれたようです。

資料の内容については説明を飛ばした部分がかなりあるので、参加された方々は何度か資料を復習してもらえれば、新しい発見と発想が得られると思います。

11月23日のレクチャーで行った内容

1.1回目の振り返りと大腿部のファシア
  ファシア第1回の主な内容を復習して、その知識を使って大腿部の構造を見ました。

2.脚を使った中腰になる動き
  アレクサンダーが中腰になっている写真を見ながら、簡単に分析をしました。
  演習として、各自の中腰になる動きを行ってもらいました。
  また、胸腰ファシア、大腿ファシア、下腿ファシアを簡単に学んだ後に、立った状態から前屈する動きについて、2人または3人1組になって、触ることでファシアの状態の変化を見ました。

3.感覚入力
  人の感覚全体と、触覚の4つの機械受容器について通常の神経科学の内容を学びました。 

4.感覚受容・運動制御と脊髄・脳の働き
 脊髄の構成、感覚ニューロン、運動ニューロン、分節、大脳皮質の体性感覚野と運動野、ホムンクルスなどの、感覚受容と運動コントロールの基本的な仕組みを見ました。 

5.筋肉の感覚受容と運動
筋紡錘 、運動ニューロン など扱いました。特に「伸張反射」を、アレクサンダー・テクニークの努力が要らないことと関連付けることができることは、興味深いことです。

6.ファシアにある感覚受容器(機械受容器)
ファシアの4つの機械受容器をより詳しく見ました。

7.固有感覚
固有感覚とはどういものか、それを失うとどうなるか、前述のファシアの感覚受容器がどう固有感覚に関わるかを見ました。

8.胴体から脚にかけての深層ファシア
今回のも最も重要な内容です。次の項目に分けて、身体の実際の構成を見ました。
(1)腹部と背中の筋肉とファシア (2)背中から臀部にかけての筋肉とファシア
(3)脚のファシア (4)足のファシアと支帯

9.トーマス・マイヤース「アナトミー・トレイン」のSFBとSBL
「張力ネットワーク」との関連で。アナトミー・トレインのスーパーフィシャル・フロント・ラインと スーパーフィシャル・フロント・ラインを学びました。

10.ファシアと脚
次の内容を、脚のファシアとの関連で見ました。
(1)脚のむくみ  (2)ふくらはぎは第二のぼうこう (3)ふくらはぎは第二の心臓(筋ポンプ作用)

参加者の感想

(後藤 篤史さん)
ファシアが全体を覆ってるという情報は知っていたが今回のレクチャーでその情報が実感として少し分かったように思いました。
毎回新しい感覚で自分の身体を感じることができるようになるので楽しいです。次回も期待しています。

(本田 玲子さん)
1回目の講座を受けていなかったですが、ついていけたので良かったです。
講義だけでなく実践やデモンストレーションを挟みながらだったので分りやすかったです。
「ファシアはウェットスーツのよう」など、イメージしやすい言葉に置き換えて説明してくださったところが良かったです。
 AT に密接につながっているところが面白くて、 興味がより増しました。
全体に繋がっているという点で、忘れず動きに生かしたいと思います。

(O.F.さん)
最初から最後まで大変興味深く息つく間もないほどでした。
ただ理論では分かっても、自分の体を使ってやってみたときにはまだよく分からず、そちらに知識をどう実際に使うことができるかをもっと練習してみたいと思いました。

(E.F.さん)
1回目のレクチャーのときより、よりファシアのことを知れて良かったです。筋肉へばかり働きかけていた指示も、ファッションのことを考えに含めると動きの質が変化します。

(N.Sさん)
腕の神経が首から出ているのが面白かったです。
ファシアの構造と感覚との関連の理解が進みました。

(S.H.さん)
学校の講義みたいなので、私以外の参加者は同じ学校で学んでいる方々のようでレベル感が合わないと感じました。
どういうところに着目してファシアを変化させるか、活かしていくかをもう少し知りたかったです。

(H.E.さん)
体中で大活躍しているファシアを知れて嬉しいです。
アナトミー・トレインを読みたいです。
体はウエットスーツのようなファシアに包まれているって、やっぱり全体なんだなと。
全体の中の強弱、オーダーメイド、癒着、面白い! 
脳の働きってすごすぎますね。
来てよかったです。

(Y.A.さん)
筋肉だけでなくファシアが動き(役割)において重要なことが少し理解できました。

(K.R.さん)
ファシアにある感覚受容器などについてや固有感覚を知ることで、自分の全体性をさらに考えることができました。
たくさんの情報で頭も目も回るのですが、自分では絶対に辿り着けない知見を得ることができるので、あっという間に終わって楽しい時間になりました。

(O.M.さん)
演習ではファシアの伸びが伝わっていくことが分かったと思う。
感覚器の筋肉での働きと考えられていたものが、ファシアで起こっていることが説明されてきたということが分った。
固有感覚が失われると痛みに敏感になる、ということは興味深い。

(S.Y.さん)
神経がどのようにファシアの中で伝わっていき、働いているのか、とても興味深かったです。 
固有感覚をどのように使っていくことができるのか、自分全体の使い方をより機能的に向上できるのか、 AT と意識や意図の働きが大切なこと、もつながりました。
自分では意識に上らない動きについて変化するには、適切なサポートや時間をかけること(伸びるために)がやはり必要ですね。
資料やお話もとても刺激になる内容でした。
感覚や見えていることの意味を、自分の身体で体験していくことから、理解を深めるのが重要ですね。

(M.W.さん)
感覚受容と運動ニューロンの話が面白かったです。
ファシアと腰周りの筋肉がつなががっていたり、腱がファシアの一部であって、筋肉自体がファシアによってまとめられているのが改めて感じられました。
筋肉の緊張だけで判断しがちでしたが、ファシアの張力ネットワークの観点で日々の動きを観察してみます。

【梅田での感想】
(冨田 美穂さん)
伸びるとパワーが出るというのが面白いし、演奏している身としてはとても納得しました。身体全体を覆っているファシアの張力、なるほどなあ、
私自身は、ふくらはぎがとか、腰が、とか部分的に痛みやハリを感じることが多いのだけど、「全体の中の部分」と考えると、変わってくるかな-と思います。

(I.S.さん)
今回の全体性と脚というテーマは魅力的でした。
上体を下に下げてストレッチするときに、どこが最も伸びているのか知ることができたので、これから様々な動きをするときに、意識に含めることで生かすことができ そうだと思いました。
伸張反射という言葉は初めて知りました。力を入れるには筋肉を縮めるものだと思っていましたが、逆に伸びることで力が出せるというのは驚きです。よく考えたらアレクサンダーでは「長くなる」という表現をよくされますが、これがそれを説明してるのかなと思いました。

(M.H.さん)
盛りだくさんで楽しかったです。
まだ今はまとまらないけど、自分の中で家でいろいろ実験・実践します。

(S.M.さん)
今回学べて良かったです。
・皮膚だけではなくファシアにも感覚受容器があるということを、知ることができて良かった。
・実習で人に触れることで、自分との違いと、個性がそれぞれあるのがさらによく分って興味深かったです。

(K.J.さん)
筋肉を伸ばすと反射で自ら収縮する力が出てくるという知識が、実際にどういう意味があるのか、その入り口を教えて頂いて、どう活用できるか楽しみです。
実際に行って体験することが多くて、理解が深まったように思います。

(S.K.さん)
自分の体の使い方について直接指導していただき、大変参考になりました。
今までのやり方とは別の方向で「努力する」ことが学べて良かったです。
伸張反射の考え方は、管楽器の指の押さえ方にも応用できるように思いましたので、試してみたいです。

(T.M.さん)
ちょうど今、「座る」についてのレッスンを纏めているので、とてもタイムリーで役に立つ情報でした。
資料にあった、アレクサンダーさんの鳥かごの鳥のお世話の写真の座り方を見ながら、スクワットを自分で練習していますが、
なかなかもって(;’∀’)ふぉふぉふぉふぉとなります。
他の動きもいつもそうですが、「行きはよいよい、帰りが怖い…」状態です。
怖いというより、ディレクションを送り続けることを諦めてしまうだけですが。
<伸張反射> 
脳からの「がんばれ」がいらない。伸びれば力が出る。
太ももぷるぷるなる時は、伸びてないから。長くなってないから。
ファシアには、沢山の感覚受容器がある(現在の日本人口の約2倍!)
ファシアの機能→①固有感覚を伝える、②痛みを伝える
「張力ネットワーク」という言葉の意味が、体感と康裕さんの身体を見ることでよく分かりました。
輪ゴム!!!
今さっき、自室で復習しながら練習して、そのままリビングに入室したら、夫が「ふっ」と笑うので「何?」と聞くと「なんか脳内音楽鳴ってるのかと思った」との感想。張力ネットワーク&ユースが良いとそう見えるのね。ミュージカル俳優に見えたのかしら?!笑

【オンラインでの感想】
(M.S.さん)
今日もありがとうございました。とても面白かったです。
美容と健康には美容ドリンクよりもファシアですね!!!
ファシアのことを知ることで、なぜ「全体性」と言われるのか?納得がいきました。
私の身体はけなげにたくさんのことをしてくれているんだ、と思うと身体に優しく動いてあげようとも思いました。
3時間ありがとうございました。また次回も楽しみにしています!!!

(S.M.さん)
今まで筋肉の働きだと思っていたことが、ファシアという結合組織の働きだとわかり、そう考えると、部分ではなく全体の動きができることに気がつきました。感覚や神経の話もあり、かなり盛りだくさんですが、アレクサンダーの言っていたモンキーというのがどのように機能的に優位なのかが、実際に動いてみたりしながらのレクチャーで以前よりも明確にわかってきたと思います。ありがとうございました。

(S.M.さん)
ファシアから始まったお話だけど、実際の内容はいろいろあっておもしろく、コロナでなければリアルで受けたいと思います。
資料は「あらかじめ読んでおく必要はない」とあったうえで送られてきましたが、我慢できずにずっとながめてました。
ファシア第3回も楽しみにしてまーす。

(K.K.さん)
レクチャーだけでなく、オンラインで動きのレッスンも(しかもとても繊細に)していただけて充実してました。「筋紡錘が伸びるのを待つ」は今後の日々の探求を支える強力ワードになりそうです。次も楽しみにしています。ありがとうございました 。

(K.S.さん)
資料のボリュームは多いですが、講義はサッと流すところと手厚く説明するところメリハリがあり退屈することがありませんでした。実際に体を動かしての演習の時間も多く取られていたので一方向の講義と違い時間が経つのが早く感じます。
腸脛靭帯や支帯は解剖学の図と実際のファシアの写真で見るのでは全く違うことに驚きました。専門書に書いてあるからそういうものだ。で止まっている知識の中に実際は違うことが結構あるのではないかと思うようになりました。
ファシアのことだけでなく人体の構造と機能を知ることができ勉強になりました。

(T.M.さん)
のびていく」となぜいいのか? という疑問の根拠について理解を深めることができました。
実は、つい最近、 のびていくことで動きが全く変わった経験をしました。
歩いたり、走ったりするときの、 前足の着地の瞬間に、大腿四頭筋を縮めて、 ひざを手前に引いてしまうクセがあることに だいぶ前から気づいていました。 この動きが、どうも体重が足裏にのることを妨げていて、 着地の衝撃が緩和されない原因だなあと思って、 どうすれば変わるのかいろいろ考えていたんです。
それで、この間 着地の瞬間に「ひざがもっと前にいく」と思って、 つまり大腿四頭筋がのびていくと思って動くと、 うまく足裏に体重がのりました。 おまけに、 ひざ下の部分の動きが劇的に変わって、 とても面白かったんです。
何が起こっているのか 今のところ調査中なんですが、 蹴らなくても、足が前にいくような感覚があります。
ふくらはぎのあたりがものすごく動くような感覚もあります。
感想にはなっていませんね(笑) でも、わたしにとって今日のお話がタイムリーだったので、 今後の探求のお供に、使わせていただきます。

(G.A.さん)
ここ数年で筋膜という言葉は頻繁に聞く様になりましたが、今まで結合組織の役割や重要性についてあまり考えたことがなかったので、とても興味深く、勉強になりました。
我々を形作っているのは筋肉ではなくファシアであること、また結合組織が全体に占める割合が予想以上に大きかったのには驚きましたが、前屈や歩き方一つとっても人によって全く異なるのは、結合組織による影響が大きいと考えると、納得がいきました。
また、自分が立ち座りやモンキーをするときにうまくいかない理由の一つは、骨と筋肉にフォーカスしており、“身体全体”に結合組織が含まれていないかったことや、特にふくらはぎや足(足首から先)のファシアについての意識が薄かったことが原因であることに気がつきました。ATで起こることとファシアの関連性について、もっと知りたいと思いました。

(M.R.さん)
体全体を巡らしている張力ネットワークのバランスが取れると、 良いことがありそうだな、と思った。
私の場合、張力が強過ぎるところと、緩み過ぎているところがあるのだと思った。 その境界部分は、つじつまが合わなくなって、身体に不具合がでるのかな?と考えました。 (間違っているかもしれませんが。)
第3回を楽しみにしております。 よろしくお願いします。

(K.T.さん)
伸びるとイメージすることで少ない労力で動けることが印象に残りました。
感覚受容器について興味はありましたがなかなか難しく、レクチャーを受けた今もよくは分かりませんが以前よりは少しイメージが具体的になったかと思います。
アナトミートレインの本をめくって様々なラインをみるのが好きなんです。そのラインで広がっていける気がして。歌うのにも役だちます。今日のレクチャーによってふあふあしたイメージが少し確かなものになった気がしています。ありがとうございました。

(T.K.さん)
陰ヨガのティーチャートレーニングを通して何となく通じていた知識が、ファシアという形でより明確になったような気がします。資料の図や解剖動画を通して、ファシアがどれかということがはっきりわかりました。
恐らく私が陰ヨガで習ってきたことが図などを通して理解できたことがよかったです。(陰ヨガのティーチャートレーニングではアメリカ人の言葉だけの指導で、しかも解剖学にあまり明るくない通訳を通して解説されていたため、「このことを言っているんだ」という手応えがありませんでした)おかげで、ここ最近の私の陰ヨガが決する考え方が間違ったものではなかったという自信になりました。

(D.T.さん)
個人的には、全3回のレクチャーの中で本日の第2回が一番強く関心が向きました。今までのレクチャーで自分の脳がファシアに少し慣れたからかも知れませんが、仕事上の関心に一番沿った内容に思えたからかも知れません。
要約すると・・・超おもしろかったです。
自分は一人ではとてもこんなに学べないと思います。ATを学ぶ上でもですが、仕事がらこれらについて学ぶことができてとてもありがたいです。
また、立ち座り(しゃがむ)の動きでのファシア、ATの関係を体験として学んで、今までになくATの使い方について「あ、そうか。」というか「あ、ほんとうだ。」と思うことができました。今回改めて学んだ伸張反射と併せて、FMさんのいう「あることについて知ったのだから、当然それは実行出来る(出来ている)・・・という幻想。」を持っていたことを、実感しました。
いままで知識として知っていたものが、体験的に響いた(理解した)といいますか・・・。

(T.M.さん)
いつもながら、楽しく為になるレクチャーでした。
ファシアは、ATで若返らせ、張りを持たせる事が可能、ファシアを鍛えることで機能も形態も良くなるとのお話しに、希望を感じました。
第3回と同様、ATのワークでATとファシアの関連、ファシアを勉強する意義が実感出来ました。

(M.R.さん)
参加者全員で、「脚を使った中腰になる動き=モンキー」を実際に行った場面が印象に残りました。中腰になるときに、お腹周辺のファシアの張りを無くしやすいことに気づけたのが大きな収穫です。
人のお腹が出やすいのは、動きの中でお腹のファシアの張りを無くしやすいからだと得心がいきました。
レクチャーの最後に、私が「ファシアの状態を良くしていくにはどうすればいいのか?」と質問しまして、石田さんから「アレクサンダーテクニークを使えばよい」との回答をいただきました。
この、ファシアとアレクサンダーテクニークの関係性を改めてこの数日考え意識し実験し過ごしました。
そうすると、頭から動いたり、頭首のファシアに張りがあるときは、お腹のファシアをはじめ全身のファシアに張りが生じることなどが自覚できました。
アレクサンダーテクニークを使うことで、全身のファシアに張りを持たせることができる、ファシアの状態を適切に良くできる。ここの理解をだいぶ深めることができ、今回のレクチャーに参加したかいがあったと嬉しく思っています。