今回は、中腰になるときに行うと疲れないかを扱いますが、その前に前回のブログに関連したイスから立ち上がるときの注意点を先に書きます。
それは、つい身体を固めてしまうことについてですが、これは中腰になるときにも、とても重要です。

何かをするときに胸や、胴体全体を固める必要はないこと

今回の朝日カルチャーのクラスは、10人の参加者がいらっしゃいました。
最初にいつものように、イスから立ち上がって歩きだすことを最初にアレクサンダー・テクニークを使ってもらいました。

前回も書きましたが、これは日常生活で誰もが行っていることで、継続的に行って徐々に効率的な使い方を身につけていくことはテクニークの良い練習になります。
それだけを行って、徐々に変えていくだけでも、他の動作に良い影響を与えるようになるからです。

一人一人順番にワークしましたが、最初はわたしの手による助けなしで、自分の動きへの考えや身体への指示の出し方を、言葉によって変えてもらいました。

アレクサンダー・テクニークを使うと動きが軽くなるという結果は起こるのですが、ここで重要なことはその結果ではなく、これが「考える(シンキング)」練習をしていることです。
自分の考えを変えるだけで身体の動きを変わることを参加者が体験することで、普段はどのように考えて動いているかを観察しようとするようになります。

その後で、わたしの手による助けを使って、さらにその「考え」がどのような身体の動きに結びつくことができるか、を体験してもらいました。

今回で特に感じたことは、立ち上がるときに胸を押し下げ、側面も含めて上半身の身体全体を固めてしまう人が多かったことです。
特に今回のクラスから始めた方は、それが大きく見られました。

もちろんクラスで行うと他の人に注目されるので、誰もが緊張しますがが、それが極度に大きい人はいろいろなことに緊張する癖があるのかも知れません。

わたしの手を使うことで、その動作にはそのように固める必要がないことを理解してもらいますが、次の2点は、この動作に役に立ちます。
(1)立とうとするときに周り見て、立つという自分の動作に「集中」し「意識が狭くなる」ことを防止する。
(2)立つときには、頭のすぐ下から始まり、お尻付近にある尾骨まで伸びる脊椎はほとんど動かす必要がないことを知る。

(2)については、実際にわたしの動きで立つときに脊椎がどう動くかを見てもらいました。
(動かさないように身体を固めてしまうことは逆効果なので、この動きには柔軟性とわずかな脊椎を伝わる動きはあります。)

継続的な参加されている方たちは、身体を全体的に使うことができてきているので、一人一人にワークする時間は短くて済みます。
でも、そこでわたしが示す自分の使い方の繊細さは、その後で自分に丁寧に使ってもらいたいものです。
もう一度書きますが、アレクサンダー・テクニークでは、身体を動かすことではなくて、それを行うときの「考え(シンキング)」の繊細さを知ることが重要です。
その情報を使って行って試していくことで、徐々に変化が生まれます。

中腰になって何かを行う

残りの時間を使って、中腰になって何かを行うことについてアレクサンダー・テクニークを使う、という今回の主なテーマを試してもらいました。

みなさんは日常生活で中腰になる作業をどのくらい思い浮かべることができますか。
朝に顔を洗うことから始まって、食事の準備や皿洗い、ふろ掃除、物を拾ったり、棚の上の物を取る、などがありますし、中腰になるまでの動きを含めれば、トイレや、イスに座る、寝るときに布団に入るなどがあります。

参加者にはそれらの中から、次回までの1ヵ月間にアレクサンダー・テクニークを使いたいと思うものを選んでもらいました。
そして3~4人のグループに別れて、その動きを行い、ときどきわたしが助けを行いながらその動作についてどのように変えることができるかを試してもらいました。

他の人の動きを見ることが大切なのは、それによってどこに注意が必要かに気づき、自分の動きについても理解が深まりまるからです。

ここでも幾つか役に立つ点を示しましょう。

1.脚を曲げるのは筋肉の力を抜くこと

脚を曲げることを、かなり筋肉を使う動作だと考えていませんか。
立ち位置から股関節・膝・足首を曲げようとするときに、確かに最初は少し力が必要でです。
しかしその後は、身体には重さがあるので、体重を支えてるいる脚の筋肉を調整しながら緩めていけば、股関節・膝・足首の関節は曲がり身体は下がります。。

多くの人は、脚の筋肉の力を抜く動作を慣れていないこと、立っているときにすでにかなり脚に力が入っているために、こうして下がっていはいません。

ぜひ、次の内容をご自分で試してください。
(1)中腰になるときに、いつも行っているような「身体を下げる動き」という考えが起こることをストップし、股関節・膝・足首の動きだと考えます。
(これについては、次回に詳しく書きます)
(2)次に、両膝が前へ、お尻が後ろへ行くと考えて動きを始めます。
(3)動きが始まったら、脚の筋肉の力を調整しながら抜いて行って、股関節・膝・足首を折り曲げて行きます。

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