2017年11月22日に行った2時間レクチャーの前半部分を紹介します。
当日は、既にアレクサンダー・テクニークの知識と経験のある参加者が対象でした。
最初の部分、特にアレクサンダースクールについてと、マージョリー・バーローの紹介の話に
補足説明を加えて書いてみます。
(準備)アレクサンダー・テクニークを使って動いてみる
レクチャーの前に、参加者には座っている状態から一度立ち上がり、ディレクション(指示)を与えながら、
座ってもらいました。
このような簡単な動きでも、うまく行うと身体全体の協調性(コーディネーション)が高まります。
身体全体の使い方が変わることで、レクチャーの理解力を高めます。 コーディネーションが良いか悪いかは、
身体機能に大きく影響するからです。
1.トレーニング・スクール毎の長所と短所
アレクサンダー・テクニークを学ぶとき、流派によって、また同じ流派でも先生毎によって、
その教え方はとても異なります。
全て完全なスクールはないので、自分が学んでいるスクールの長所・短所を考えてみることの重要性を
最初に話しました。
でも、それは重要なのですが、自分のトレーニングコースが教えているものを、最大限に学ぼうとする態度は
何よりも大切です。
それだけでも十分に深いので、まずそれに時間をかけることは最優先になります。
そうした上で、ときどき自分の学び方を考えてみることが役に立ちます。
これいついて3つの点を取り上げました。
(1)教師養成コースでいつ授業が行われているか。学び方はどうか。
1931年にアレクサンダーが始めた教師養成コースは、普通の学校の形態でした。
つまり、月曜から金曜の間、毎日クラスがあったということです。
これは、正規の仕事をしながら、教師トレーニングを受けることができる現在の多くのスクールとは
大きく異なります。
今のように仕事を持ちながら、このテクニークを学べることは本当に大きなメリットだと思います。
わたし自身、そうでなかったら、アレクサンダー教師になれませんでした。
でも同時にそれは、アレクサンダーが行っていたトレーニングとはかなり異なることを意味します。
当時の生徒は、アレクサンダーから午前中の2時間に直接教えを受け、午後は自分たちが練習する時間でした。
それが生活の中心だったので、テクニークについて考える時間は圧倒的に多かったことでしょう。
日中の仕事に、時間と頭を使わなくてはならないわたしたちの状況とは、かなり異なります。
しかもアレクサンダーは、「生徒たちは自分で考えようとしていない」と言って批判していたのですから、
生徒たちの努力は相当のものだったことしょう。
当時は、今のような情報はなかったので、生徒たちは、自分のクラスでの体験とアレクサンダーが話す言葉、
彼が自ら書いた3冊の本しか手がかりはなかったのですから。
学んでいくうえで、それはときに重要です。
他の情報に逃げることはできず、眼の前のものをどう観察できるか、どう考えるか、それをどう自分の動きに使えるか、
を深めていかなくてはなりません。
知識の広さは役に立たず、その人の本当の学習能力が問われるともいえます。
特に、当時はアレクサンダー自身が教えているのですから、他に眼を向ける必要はありませんでした。
著書に関して言えば、アレクサンダーは個人レッスンの生徒に対しても、レッスンを始める前に
彼の著書のどれか1冊を読んでおくようにと言っていました。
F.M.アレクサンダーから直接教えを受けた第一世代の先生たちの多くが、アレクサンダーの著書を読むようにと言っているのは、
そうする中で、多くのもを得た実体験があったからでしょう。
マージョリー・バーローは、アレクサンダーの本について「先生になる人にとって、必須です。」言っていて、
それは「飲み込むものでなく、何度も噛んで、消化する」必要があるものだと補足しています。