先週(11月18日)に土曜特別講座「新しい自分を見つける問い」を行いました。

講座では、「自分に、何を問いかけてみようか。」と考えることを目的にしました。
「人が考えているときにどうしているか」を観察してみると、眼や身体をとても特徴的に動かしていることが分かります。
本人は、それをしないと、考えているような気がしません。

誰もが行なう「考える」ことに、アレクサンダー・テクニークを使い、違った身体の使い方を試してもらいました。

最後に「自分に、何を聞くか」を書いてもらい、後で学んだことを使って「答えを考える」ことを宿題にしました。

「問い」を作り、「答えをすぐに出そうとせずに、時間をかけて浮かんでくるものを待つ」ことで、
思いがけない答えがでてきます。
ときどき、いろいろなヒントを与えてくれます。

(1)考えているときの自分を考える

アレクサンダーは、80歳を過ぎた晩年に、姪のマージョリー・バーローに
「You know I’m always happy.(わたしは、いつも幸せなんだよ)」
と言ったそうです。
彼の晩年は、名誉棄損裁判で傷つき、脳卒中で2度倒れました。
弟のA.R.など親しい人たちが亡くなり、外から見れば、決して幸福とはいえないものでした。
それでも、happyと言えたのは、自分が見つけたテクニークを使って、
心の持ち方をコントロールできたからだと思われます。

アレクサンダー・テクニークを学ぶことで、いろいろな刺激への自分の反応を少しずつコントロールしますが、
それには刺激への「心の反応」も含みます。
人は身体の癖だけでなく、「心の癖」があることにも、なかなか気づかないものです。
それには、考えるときの癖も含まれます。
その「心の癖」になった反応に気づき、不必要なものをやめることで、考える内容にも変化が起きます。

(2)考えているときの自分の状態を知る

多くの人が、考えようとすると、身体を下方向に落とします。
そのため、アレクサンダー・テクニークを使って
「頭が動いて、身体全体がついていって、そうすることで、考えようと思うことを考えることができる。」
と自分に指示すると、それは普段「考える」ときにやっている身体の動きと、反対になります。
それが「アレクサンダー・テクニークを使うと、考えている気がしなくて、不安だ」という感想につながります。

こう書くと、このテクニーク長く学んでいる人は、「またか」と思うことでしょう。
演奏家が、「演奏している気がしない」、声を使う人が、「声をしっかり出している気がしない」と言うからです。

その場合は、身体を固めることが、その活動と切り離せなくなっているのです。
必要のない身体の緊張を、考える活動と切り離し、やめることができれば、考える質が変わることは当然です。

また講座の中では、考えているときに、どの高さで考えていると思うかを、参加者に手で示してもらいました。
参加者一人一人が異なることは面白いです。

考える位置が低い人は、身体は下に行こうとしていることが多いので、「頭の高さか、それより高いところで考える」
ことを試してもらいました。

(3)自分の考えるときの環境を変えてみる

次に、「自分は何色か?」という問いを行ってもらいました。
アレクサンダー・テクニークを使って考えてもらいます。
すぐに結論をだそうとしないで、答えが来るのを待ちます。

その後で、3~4人のグループになって、そのように考えた体験はどうだったかを、
考えていたときの自分の質を保ちつつ、話してもらいました。

次に、今日のテーマ「自分に何を聞いてみようか」を考えてもらいました。
テクニークを使いながら考えます。

今度は、参加者に順番にさきほど考えた「自分の色」を言ってもらいます。
そのたび毎に、参加者は言われた色になり、「自分に何を聞いてみようか」と考えてもらいました。

考えるときのセッテイグを少し変えると、考えが違ったものになることは、興味深いです。

今回は、色を取り上げてみましたが、感情や、自分がいる場所を変えたりできます。
環境は、思考に影響を与えます。

 

(4)まとめ

考えることにアレクサンダー・テクニークを使ってもらいました。
考えるときの環境を変えてみて、最適なものを見つけることも、変化の糸口になることでしょう。

参加者のみなさんの、その後の体験はいかがでしたでしょうか。
その新しい考える質で生まれた「問い」と、それに対する「答え」がどうだったか、ぜひ知りたいところです。

 

【参加者の感想】
考えるときに、自分を下げて、固めて目の前の世界と切り離していないか観察してみようと思います。
自分を下げて考えるときと、広がったままで考えたときとでは、思考の結果が違うということが体験でき面白かったです。
(K.T.さん)

自分が今、どこの位置で考えているか、気にしてみようと思います。
最後に他の方たちの色になって考えてみると。そのたびに違う質問が思い浮かびました。
色のイメージと言うのもあるのだと思いますが、質問を考えるときの自分の状態が質問自体を変えていく重要さを
とても感じました。
(Y.F.さん)

下を見て考える人と上を見て考える人がいて、下を見て考える人は比較的暗い色をイメージして、上を見て考える人は
明るい人をイメージしていて面白いと思った。
(K.T.さん)

頭の位置を変えると思考が自由になる。頭が前に行きすぎていたので、後上にうしろ、上に動かしてみる。(色も変わった)
体に正しい指令が出せるようになったらいいなと思った
(R.M.さん)

考えるときに下を見て考えていた。
歩くときも思っていたより下を見ていたかも。
目線を上に、意識的にも上を見ていこうと思いました。
自分の中では歩く時も頭を思って上に伸びながら歩いているつもりだったが、目線が下だったかも。
言われないと気がつかないので、人に見てもらうことが大切だなと思います。
(N.K.さん)

何か行おうとするときに、無意識に身体を固めている自分に気づきました。
いろいろ発見できて楽しかったです。
(M.N.さん)

久しぶりに来れて良かったです。やはり体が忘れてしまうのはもったいない。
(Y.K.さん)

考える仕方を変えてみると、考える内容も変わる。
話が途切れても不安にならないことは重要。
自分の話す順番が決まっているときに、前の番の人の話をよく聞けていないことが分かった。
(M.O.さん)