「あなたが魔法と呼ぶものは、人の建設的なシンキングが行っています [The ‘magic’, if
you want to call it magic, is your constructive thinking] とマージは言いました。
マージの教え方の特徴は、そのシンキングを強調したことです。
マイケル・フレデリックが言っているように、アレクサンダー・テクニークの教え方の多
くが「身心」として身体の方を重視しているのに対して、マージは「心身」として心の面
のシンキングを重視しました。
マイケルはその教え方に感銘して、既にアレクサンダー教師になっていたのにできるだけ
マージから学び、その教えを大学院のようだと言いました。
人が考えていること(つまり人のシンキング)が大きな変化を起こすのですが、その内容
はとても単純です。
「頭がデリケートに動いて、体がついて行く。」でしかないからです。
複雑な説明をマージがすることはまったくありません。
彼女が行う「何を観察しますか?」「何を考えていますか?」の問いは、生徒のレベルに
よって答えが変わります。
だから初心でもすぐ取り組めるし、アレクサンダー教師たちはレベルに応じて次の段階に
行けます。
マージは「位置ではなく、動きです。」と言いました。
アレクサンダー・テクニークを学ぶ最初の数年は、自分の頭の位置を気にするようになる
だけで多くの人に身体の改善が起こります。
その段階を過ぎて、「動き」を起こすためは、どのように自分に言うかの質が重要です。
シンキングを行っているときに、「動き」が起こっていないことに気づき、それを変える
必要があります。
マージは、「なぜそんなに真剣になるのですか?」とか「微笑みがあればすべてはうまく
行きます。」と言いました。
真剣さと心配は、頭を動けるようにはしてくれません。
マージに直接トレーニングを受けた教師たちは、リンカーンに移り住んで何年も過ごした
り、毎年の夏の1ヶ月間のワークショップと2週間休みなしの冬の連続ワークショップなどに参加しました。
根本的なシンキングの変化がそのように時間がかかるのは、知識ではないからでしょう。
頭の中で起こるシンキングの質の重要性については、前にブック・コースの紹介に使った
ペギー・ウィリアムズが言っていたこととも関係します。
次のものでした。
(ペギーは、アレクサンダー没後でもっとハンズ・オンのパワーがあると言われていた教
師です。彼女が訓練中にどんなに大変だったかは、私の訳書「エリカ―とペギー、ハンタ
ーによる第一世代教師」で知ることができます)
アレクサンダーの手は信じられないほどでした。
なんでも知覚し、感じ取り、知っているようでした。
生徒たちのうちには、手がまるでそれ自身の生命を持っているかのように感じている者も
いました。
ところが、FM(アレクサンダーのこと)は、自分の額を人差し指でトントンと叩きこう言っ
ていたものです。
「ここから来ているんだよ。」
また「もっと知りたければ、私の本を読みなさい。」とも、私たちに何度も言っていました。
5月3日からの坂戸連続ワークショップでは、最初の3日間で、「観察する」、「頭を動か
す」、「体がついて行く」を学んだ後で、最終日に「シンキング」を扱います。
定員8人でまだ各日に余裕があります。時間の取れる方はぜひご参加下さい。
https://yasuhiro-alex.jp/gw-alexanderws/
シンキングも含めたマージの教え方については「マージョョリー・バーストーの教え方を学ぶ(上)」で読むことができます。
https://yasuhiro-alex.jp/marj_book1/
https://yasuhiro-alex.jp/gw-alexanderws/
また、WSでマージがどう教えたかの記録(上記の彼女の話しも含まれています)や、彼
女へのインタビュー、彼女がどう教えたかの生徒たちの文章や対談を編集して、マージの
教え方をまとめた本「マージョリー・バーストー」(私家版、簡易製本)を3月末頃に出
します。
この本の予約注文も上記のWebページで行えます。