アレクサンダー4冊目の本のタイトルは、「生きている上で変わらないもの」で、自分の間違った使い方は、自分が何をやっていてもいつも「変わらず」悪い方に作用するし、逆に良い使い方は、いつも「変わらずに」良い方向に作用する、ことを意味しています。

みなさんは、ご自分の脚の使い方について、何か気づいている所はありますか?歩いているとき、立っているとき、ストレッチのような運動をしているとき、さらには、脚は使っていないと思えるような、座っているとき(座って演奏しているときや、デスクワークなどの何かの作業を行っているとき、休んでいるとき)、寝ているとき、にどう使っているでしょうか。
一人一人の脚の使い方はとても異なっていることを考えたことはあるでしょうか。
脚の使い方は最も気づきを持ちづらいものですが、もちろんその些細な違いが、いつも「変わらずに」その人に作用し続けます。
しかし、人は自分の使い方に慣れていてそれしか知らないために、自分が他の人とは異なる使い方をしていることに気づくことは余りありません。

脚と腰と臀部の深層ファシア

脚の動きは、脚だけでなくその上部でつながっている、臀部と、背中の腰の部分から、直接的に影響を受けます(それらの部分は、もちろん、頭の動きの影響を受けていますが)。
個々の筋肉間の関連とともに、皮膚の下で表層ファシアの下にある深層ファシアの状態がとても重要です。
腰部には「胸腰ファシア」があり、臀部には「殿筋のファシア」、脚には「大腿ファシア」(大腿筋膜のことです)と「下腿ファシア」で、それが足のファシアにつながっています。
これらが身体や脚の動きに合わせて協調的に伸縮するなら、問題はないのですが、多くの大人がその柔軟性を失っているために、動きに余り好ましくない特徴を持ちます。
それらを改善することで、前回書いた身体全体の「張力ネットワーク」がうまく機能して、身体全体の動きが良くなります。

そのためには、一人一人の状態を最初に知り、その個々の状況にあわせて対応していく必要があります。
自分で行うときに、状態を観察しようとせずに、何かで教わった「正しい方法」を行おうとすると、そのほとんどが自分を固めて「正しい姿勢」にしようとするだけだからです。
そのためには、この精巧にできている身体構成について全体像の重要な部分についての知識が役に立ちます。今まで、余り注目されることが無かった、ファシアについて知ることは、変化を起こす役に立つでしょう。

アレクサンダー・テクニークと脚の使い方の改善

アレクサンダーが行っていて、現在のアレクサンダー界でプロシージャと呼ばれるもの(チェア・ワークや、モンキー、ハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェア)は、その動きが楽に行えることが主目的ではなく、身体が正しく協調的に使えるようになることが、目的でした。
アレクサンダー・レッスンを見たことがある人は、レッスンを受けている人が、1,2回立ったり座ったりするだけで、(もちろん、自分のやり方ではなく、指導を受けながら)、身体の協調的な状態が変わることを見たことがあるかもしれません。
それは、脚を動かしながら、特に脚の使い方、さらには身体全体が協調的に動くことで、自分の使い方が変ることです。

ファシア第2回レクチャー

ファシアのレクチャー第2回では、胴体から脚にかけてのファシアの構造を扱います。
それが、どうなっているかを理解し、体験を行うことで、脚の動きについて異なる見方ができるようになるでしょう。

第2回の日程が、次のように決まりましたので、関心がある方はぜひご参加下さい。
池袋11月23日(月、祝)http://yasuhiro-alex.jp/ikebukuro-lecture/
梅田12月4日(金)、6日(日)http://yasuhiro-alex.jp/kansai-ws/