アレクサンダーは1908年に、当時流行っていた「身体鍛錬」や「呼吸法」に対して、それが全て害になると批判ました。
特に当時流行っていた「ディープ・ブリージング(深い呼吸)」などが、人の身体を奇形と言えるまでに変形させていることを取り上げて、2つのチラシを作りました(一つ目は最初、新聞に投稿しました)。
「ディープ・ブリージングの危険性」
「ディープ・ブリージングと身体鍛錬のエクササイズはなぜ役に立たずに害になるか」
の2つです。
どちらも、その1908年に書かれていますが、これはもちろん「ブリージングマン(呼吸の人)」として売り出していた、アレクサンダー自身の方法の宣伝として作ったものです。
この年はまた、アレクサンダーが「ブリージングマン」から、離れ始めた時期でもあります。
(そのため現在では、アレクサンダー・テクニークと呼吸とが密接な関わりがあることが忘れ去られています。)
その当時も現在と同じく、色々な健康法が提唱されては消えていました。
呼吸法も、アレクサンダーが批判していた当時の陸軍や学校教育の写真を見ると、とても考えられないことが行われていたようです。
人は、良いと言われれば、余り疑わないで実行する愚かさを持っていることは、わたしたちもいつも思い出す必要があることでしょう。
それは、アレクサンダー・テクニークを学ぶときにも言えることでしょうし、どんなものも、歪めて教えることがあることを示しています。
特に2つ目のチラシでは、当時の「身体鍛錬」や「呼吸法」での代表的な4つの指示について、その合理性を、アレクサンダーは1つずつ検討しています。
1.正しい立ち姿勢を取らせようとすること
2.深く息を吸い込むこと
3.息をしばらく止めること
4.胸壁や腹壁に力を入れ、強く息を吐き出すこと
についてです。
また、特にそれらを行う人たちが、「お腹を突き出して、腰を反らせて」いることと、立っているときに、「腕が肺の後ろに行っている」ことも指摘してもいます。
みなさんは、これらをどう考えますか。
アレクサンダー・テクニークも含めて、全て身体に働きかけている人たちは、自分のやっていることが、アレクサンダーの眼にどう映るかを、これらをもとに考えることは役に立つでしょう。
8月10日(土)池袋レクチャー
8月10日(土)の池袋レクチャー第4回「アレクサンダーの著作からテクニークが何かを考える」では、アレクササンダーの小冊子と彼のレクチャー、4冊の本の内容を追い、教えている用語や内容がどう変わっていくかなども見て行きます。
資料には、ここで取り上げた「ディープ・ブリージングの危険性」「ディープ・ブリージングと身体鍛錬のエクササイズはなぜ役に立たずに害になるか」の訳もつきます。
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