遅くなってしまいましたが、朝日カルチャーで今月行ったクラス(11月16日)についでです。
今回のテーマは、「伝わる声の作り方」でした。

もちろん話している人や歌っている人に、「伝わる声でそれを行うように」と直接的に言っても、普通は身体に余計な力を加えるだけです。
アレクサンダー・テクニークでは、それを間接的に求めます。

そのときには、何を考えているかがとても重要になります。
考えを変えることで行い方が間接的に変わります。

考えを変えることと、アレクサンダー・テクニーク

でも、考えを変えることだけを取り上げるのなら、アレクサンダー・テクニークのレッスンで言っていることと、似たようなことは他にいくらでもあります。
違いは、それらではその「考え」を無理やり持とうとすることで、身体に余計な負担をさせることが起こり得ることです。

アレクサンダー・テクニークの特有な点は、アレクサンダー自身の言葉を使えば、「『首に対する頭』の、そして「胴体に対する頭と首」の動き」がどうなっているかにいつも注目していることです。

活動に必要な考えはいつも変わる

今回のクラスに参加された方は分かるでしょうが、わたしはいつもこのことに注意しながら、ワークを受けている人それぞれの状況に合うような、新しい考え方についての提案を行いました。

多くに人に有効な「考え方」はありますが、一人一人の状況の方が重要です。
誰もが異なっているので、自分がどうかと考える必要があるのです。

人はそれぞれ、身体的にも心理的にもいろいろな経験を積んできていて、感覚認識が異なるので、同じ言葉も違った意味を持ちます。

アレクサンダー・テクニークでは「頭の動き」についてはいつも何らかの形で意識的になるようにと言いますが、同時に、実際に行っていることに対しては、そのときどきの状況に意識的になり考えていくことが必要だと教えます。

自分でもできるエクササイズ

これらのことを考えながら、今回は次の内容を行いました。
クラスでは、頭の動きを思い出してもらうために、ときどきわたしが一人一人にワークしながら行いましたが、自分でできることもあるので、ぜひ試してみてください。

【エクササイズ1】 2つのことを同時に行い、そうしながら主に行っていることの優先順位を落してみる

今回は、3人一組になって、単に「おしゃべり」を行ってもらいました。

まず、他の人が話していることを聞いているときに、自分の頭の動きを考えながら、聞きます(頭のことを考えることと、聞くことの2つを同時に行っている)

次に、より困難になりますが、頭のことを考えながら、話してみます。
このときに普通は話す内容を考えることが最優先になりますが、試しに、頭を考えることを優先させて、話の内容を考えることはその次にしてみます。

何人か人がそのように優先順位を変えることで、ずっと話しやすくなり話す内容も自然に出てくるようなることに気づきました。

【エクササイズ2】 声を出すときに、どこにそれが届けようとしているかの自分の考えを変えてみる

1)自分に向かって声を出していると考えて声を出す。
2)2m離れている人に向かって声を出していると考えて声を出す。
3)5m  〃
4)10m  〃
(このときに、自分の声の大きさについては、意図的に変えることはしないようにします。)
一人にこれを行ってもらい、グループの他の人はどのように聞こえるかを確認しました。

これにより、声が大きく変わる人がいます。
これを行う人は、普段の自分が声を使っているときに、どこに向かわせているかの自分の習慣に気づくでしょう。

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