昨日(2017年12月23日)のBodyChanceでの土曜特別講座では、普段の友人や職場での会話を取り上げました。
アレクサンダー・テクニークは、自分のやっている余計なことに気がつき、それを止めて行くことが重要なプロセスですが、普通の会話は、まさにそのような癖のオンパレードです。

それは、自分を疲れさせ、周りの空気を読む力を失わせ、話したいことを人に伝える能力も引くなります。

■雑談のときの留意事項

(1)身体は、自分の考えの通りに動く

わたしたちの身体は、ある意味で、自分の考えの通りに動こうとします。

もちろん、多くの人は、そうではないと思うことでしょうが、人の脳は、自分が頭でそのとき意識的に考えていると思うことの他に、いろいろなことを考えています。
今回の講座の中でも数人の参加者にあったように、話したいと思いながら、恥ずかしさなどから、自分を引っ込みえいたいと思うなどです。

そのときは、身体を押し下げたり、後ろの方に身体を傾けて話すなどの行動となって現れます。

それらに気付き変えていくために、アレクサンダー・テクニークは助けになります。

(2)自動操縦になるとき

人は、自分のパターンにはまってしまい、気づきがなくなることが良く起こります。

話していて、「今日はうまく話せて、聞き手の反応も良い」と感じてしまうと、調子に乗って中身の無い話になってしまう。
雑談のような会話でも、何かの話に、自分に話かけられていても、何か録音でも効かせれているような、感じをしたことはありませんか。
話している内容のことではないのですが、話し手の状態が、何か、自分のことを考えていないと思うようなときです。

(3)相手によって話し方のパターンを変える

みなさんは、話す状況によって、どのくらい自分のパターンを変えているでしょうか。

職場では上司との雑談と後輩との雑談は違うことでしょうし、先生だったら、生徒の前で話すときと、同僚との雑談では違うことでしょう。
小学生のとき以来の友人との雑談は、高校時代からの友人との雑談は違うかもしれませんし、考えてみれば、わたしたちは友だち毎に少しずつパターンを変えています。

得意、不得意もあります。雑談をするよりも、人前で話す方が得意だと言う人もいるかもしれません。

以上のような前置きをして、内容に入って行きました。

エクササイズ


【エクササイズ1】自分が話しているときにどのような特徴があるかを考えてもらい、それを話してもらう(3~4人で組になって)

できるだけ初めての人との組になってもらい、話すことのウォーミングアップも兼ねて、一人ずつグループの中で「自分の話し方の特徴」と思うことについて話してもらいました。

自分の話し方を観察しながら話すことで、考えていた自分の特徴以上に、いろいろ気づいたことでしょう。
普段はわたしたちは、自分の話し方や、他の人の話し方には、それほど注意しないので、まず注意する時間を取ることで、脳がそのような観察に慣れていきます。

 

次は、自分の話し方に制約を作って、自動操縦になってしまうことを止めてみました。

【エクササイズ2】人の話を聞くときに、うなずきを止める。

アレクサンダーは、人として最高なのは、「やらないと決めたら、それが守れる人だ。」と言いました。
ここでは、「うなずかない」と決めてもらいました。
しばらく、グループごとにそれを試してもらった後で、その感想を話してもらいました。

その後で、1つのグループごとに、他のグループの前で次の内容を行ってもらいました。
より冷静に何が起こっているを観察してもらうためですが、そのように多くの人に見られているという考えが頭にあると、また話し方や聞き方に影響を与えます。

①普通に会話をしてもらう。
②うなずきをとめる(うなずいても良いが、うなずくときは、自分がそうしていると考えてから、うなずく)
③わたしが話している個人々にワークしながら、できるだけ身体全体を協調的に使って話してもらう。

このときには、一人一人の状況に応じて、幾つか提案も行いました。

この結果いろいろな観察が起こりましたが、それらは後の参加者の感想をご覧ください。

【エクササイズ3】言葉を1つ抜いて話す

最後にまた各グループで雑談を行ってもらいました。
今度は、「あいうえお・・」の中でつ言葉を自分で決めて、それを会話の中で抜いてもらいました。
他の人は、抜いた言葉を推測してみます。

これはもちろん、相当に注意深く話しをする必要があります。
そうすると自動操縦の部分が減って話しづらいのですが、他の人は、多くの人の話し方で無駄な動きが減り、聞きやすい話し方になることが分かります。

話している内容だけでなく、いろいろ考えていることが、その人の話し方に影響を与える良い例です。
人が何かの活動を行っているときに、その内容以外のことにどれだけ気を配り、考えることができるかはとても大事で、それが話し方に影響を与えます。
アレクサンダー教師は、人に向かって話しながら、自分の身体がやっていることに気づき、それへの対応で自分への指示を与え、同時に生徒の様子を観察するなど、を行います。

実は、普通の人もいろいろなことを並行して行っています。
例えば人が立って歩いて行き、誰かと会って並んで話すときに、立つこと、歩くことをやめてはいません。
一度自分のものにしてしまったので、苦労がなくなっただけのことです。

コミュニケーションとは

参加者の感想で「思っていたことと違っていた」という文を読み、一つ言い忘れていたことに気づきました。

「雑談のコミュニケーション」での大事なことは、問題は、話している内容ではないことです。
それは、どのように、相手と安心して分かりあえる時間を過ごせるかです。
話している相手と良い時間を過ごしたいと思っても、自分のいろいろな話し方、聞き方の癖が、それを邪魔します。
今日の講座は、それに気づき、それが変わったならば、どう印象が変わるかを扱いました。

参加者の方々には、それぞれに何かヒントが得られたの思いますので、ぜひその気付きを活用して頂きたいと思います。

 

【参加者の感想】
・話す方も聞く方も、特に体のジェスチャーがなくても、ちゃんとしていないようには見えませんでした。逆にジェスチャーがあると、身体を固めていることと、話しが落ち着かない感じがすることが良く分かりました。(K.T.さん)

・予想もしていなかった地平が開けて驚いています。まだうまく言葉にまとまりませんが、とても素敵なドアが開いたと感じています。ありがとうございました。(T.N.さん)

・おしゃべりと、身体の使い方が関係していることがわかりましたが、まだうまくコントロールできない感じがします 。(Y.T.さん)

・うなずくことが、こんなに癖になっているとは想像以上でした。うなずくことが、実は「聞いてないことへの保険」のようなものだということは、耳に痛い発見でした。(Y.T.さん)

・皆さんの話の印象が変わるのがすごいと思いました。うなずきを意識することをやっていこうと思います。(Y.K.さん)

・話すことが苦手だと思っていたけれど、考え方が変化することで、話すことが大丈夫になりそうです。

今まで何かをやるときにイスに、身体を押し付けていたので、それをやめることを、いろいろな場面で使ってみたいです。(N.K.さん)

・頭の中で考えていることが変わると、声やしゃべり方が変わることがおもしろかったです。演奏で使ってみようと思います。(色まで「タッチのコントロール」をしようと思いました。(K.T.さん)

・別のところでカウンセリングを勉強しています。相手の話を聞くことについて役立てて行きたい。普段自分では気がつかない話すときの身体の動きの癖について、考えることができました。(T.W.さん)

・予想としていた感じとは違いましたが、とても良かったです。相手に伝わるように、声が届くようにしゃべろうと思いました。

・会話に関係ないことをいろいろ考えながら、自分は話していると思いました。そういうことがうなずきに出たりすると思います。真剣に聞いているときのうなずき方には違いがあるので、聞くときにはちゃんと聞ける人になりたいです。
オーバーなうなずきはあまり聞いていないと思われてしまうとのことなので、気をつけようと思いました。(N.K.さん)

・話す方も聞く方も、特に体のジェスチャーがなくても、ちゃんとしていないようには見えませんでした。逆にジェスチャーがあると、身体を固めていることと、話しが落ち着かない感じがすることが良く分かりました。(K.T.さん)

・話すときに手を動かしたり、身体を動かしています。うなずかないで、話すのは難しかった。意識の持ち方で声が変わることがわかりました。
話す前に、話し方を決め、内容をきちん届けようとして、話したいと思います。(M.O.さん)