昨日から、新宿の朝日カルチチャーセンターの3ヵ月講座「朗読・読み聞かせ力が向上するアレクサンダー・テクニーク」が始まりました。
月に1回(次回は11月17日金曜)で、途中参加もできますので、興味を持ちましたらぜひ参加してください。

1回目の内容を解説を加えてリポートします。

(1)姿勢と呼吸はどのように関係があるか

初回の昨日は最初に、座っていたり、立っているときの姿勢が、呼吸に影響を与えることを見ました。
これは、前回の3ヵ月の講座の「声と呼吸を改善するアレクサンダー・テクニーク」で扱った内容の復習になります。
これについては、ブログの
「呼吸と声を改善するアレクサンダー・テクニーク」が始まりました」
「立ち姿勢の3つの悪癖」
(関連 「気がついた姿勢の悪癖をどう直すか」, 「アレクサンダー・テクニークを使って、イスから立ち上がって歩き出す」)
「朝日カルチャー「呼吸と声を改善するアレクサンダー・テクニーク」の2回目」
で書いていますので、読んでみてください。

(2)声を出すということ

その後で、参加者に宮澤賢治の短編童話「花とダァリア」を声に出して読んでもらいました。

ここでは特に、身体の緊張がいかに声の妨げになるかについて書きます。

■声を出そうとして、身体の前面に力が入る
・苦手なことを行うときに身体をどう使っているか

苦手なことをやるときに、身体をどう自分がっているか、気にかけたことがありますか。

例えば、電車に遅れそうで駅に急ぐとき、どこに力を入れているでしょうか。
多くの人は、胸のあたりに力を入れるのですが、それは速く進む妨げになります。
上半身で行っている無駄な「力み」をやめて、脚にエネルギーが伝わるようにすれば早く進みます。

ご自分でわからないようでしたら、駅に向かう他の人を観察してみて下さい。
何人か見ていると、エネルギーを効率的に使うとは、どういうことか理解してきます。

何かがうまくいないとき、効率的に見えないときは、エネルギーが足りないのではなく、身体のいらないところに力をいれて、エネルギーを無駄に使っているからです。
アレクサンダー・テクニークを学ぶことは、徐々にそれに気づくことでもあります。

毎日、先生からの指導を受けることができれば別ですが、自分の癖を自分で変えたければ、それに気づくことが第一歩であることは、明らかです。

問題は、多くの人が、そのエネルギーの使い方を必要だと思っていることです。
早く進もうと体に力を入れている人は、それが役に立つと思っています。
非効率的な使い方は、「自分がやろう」としてやっていることに気づくと、多くの人はとても驚きます。

身体は、実はその人の意図を忠実に実行しているのです。

・声を出すときの意図が身体の緊張を作る

フィギャスケートをTVで見ていると、しなやかさを失い、どこかに「力み」があって「ぎこちない」動きがあると、ジャンプに失敗することを予感できます。

「身体の緊張は、声の妨げになる」ことも、誰もが理解しています。
それでも、自分が声を出すときには、その不必要な力の入れ方を必要だと考えてしまうのです。
そして、もっともっとそれを自分の身体に要求します。

それらの中の一つに、声を前に出そうとして、自分の身体の前面だけを考えてしまうことがあります。
その前面を固めて、自分の身体を押し縮めてしまっています。
腕に力が入り過ぎになっていることもあります。

そして「声が出ていない。なんとかしなければ。」と思うことで、それはさらに強くなります。
人が、何かを解決しようとして、努力すればするほど、緊張の方向に行ってしまうことは、興味深いと思いませんか。
(それなので、一生懸命になり過ぎない必要があります。
自分の枠を取り払い、微笑んだり、「はじけた」ようになることが助けになります。)

声を届けるという考えは必要なのですが、それを、実行するときに身体の緊張なしに行う必要があるのです。
アレクサンダー・テクニークはそれをどうするかを助けます。

もし、ご自分が身体の前面だけを考えて、声を「前方の下方向」に出そうとしていると思ったら、声は「頭の上を抜けて、放物線を描いて聞き手の方に届く」と思って下さい。

そうやって、声を出すことで、自分の身体のいろいろ所に下向きに力を加えることをやめることができます。

それは、声を出すときに、空気が抵抗なく肺から上がってきて、喉の周りの「力み」も取ってくれます。

これを行おうとすると、人によっては相当に変な感じがするものです。 自分の普段の声の出し方を、思い切って手放すつもりでやってみてください。

アレクサンダー・テクニークを作ったF.M.アレクサンダーは、声を出すときのように人が集中し努力してしまうことの弊害について、3冊目の本の「集中と指示を出し続けること」の章の中で書いています。
この章についてわたしの訳を読むことができます。

次回以降の朝日カルチャーのクラスの内容

11月の2回目と、12月の3回目では、引き続き自分の身体全体の使い方と関連させて、「聞いている人」と「何を伝えるか」についての考えを変えることで、声が大きく変わることを見て行きます。