8月19日に「身体をテンセグリティ構造として動かす」ワークショップを行いました。
その内容のいくつかを紹介しながら、テンセグリティを学びます。
また、この考え方がアレクサンダー・テクニークの学びと、身体の使い方にどい役立つかを今回から5回のブログを使って考えていきます。

テンセグリティとは

テンセグリティという言葉は、テンション(張り)とインテグリティ(統合性)を合わせたものです。1960年代にバックミンスター・フラーによって使われ始めました。

普通の構造物は、柱や板などの固い部品が構造を支えます。 テンセグリティ構造は、左の写真のように、それぞれの柱は直接つながらずに、ケーブル(綱)を介しています。

柱には圧縮だけの力しか加わりません(曲げるような力は起こりません)し、ケーブルに加わる力は「引っ張り(テンション)」だけです。

人の身体はテンセグリティ構造

人の身体は、骨格が主にその構造を支えていて、骨には、色々な力(圧縮や、引張り、捩り、曲げ、)が加わり、写真のような構造とは異なります。

でも、骨の周りを、筋肉や、筋膜(きんまく)、靭帯(じんたい)などの弾性のある部品が囲っているので、それらが全体として重さを支える補助を行い、動きを起こします。 骨は確かに、家などの構造物の柱の役目を果たしますが、全体ではテンセグリティ構造と考えることができます。

さらに、人の筋肉や靭帯や筋膜はゴムのように弾力があります。 人の身体には、さまざまな長さと太さのゴムや柱があり、ゴムのシートで覆われていると考えることができます。

テンセグリティ構造の特徴

それではテンセグリティ構造の特徴を見て行きます。
ぜひ、自分の身体と関連づけながら考えて行ってください。

(1)全ての方向に広がることができる。

写真の構造では、3組の平行な棒が直角に交わるx軸、y軸、z軸の方向に並んでいます。

このうちの平行な1組の2本の柱を持ち、その2つを外側に広げます。
もしこれがスポンジだったら、一つの方向に引っ張ると、その方向以外は縮んでしまいます。
この点で、この構造がとても特殊だということが分かります。
(何かを引っ張ると、その力だけで全体が膨らむようなものを思い浮かべることができますか?)

わたしたちは時々老齢の人が急に小さくなったように感じるときがあります。
骨それ自体が短くなるはずはないので、これは全体の張り(トーン)が変わったからだだと考えられます。
人の身体の外側に向かうエネルギーは、疲れたり、意欲を失ったりすると、少なくなります。

(2)ある部分を固める影響は、違う場所に大きく現れる。

ゴムのどこかを縮めると、柱の反対側の先端は、その柱が長いために、大きく動きます。
人の身体も、どこかに緊張があると、その影響は、他の箇所に現れる可能性があるということです。
痛みが生じていても、その部分と異なる所に原因があるかもしれません。

 

(3)一部分の緊張が全体に影響を与える

(1)で見たように、テンセグリティ構造のある部分を変えたときに、他の全体に影響を与えることを見ました。
これを風船で見てみましょう。

左の写真のように、固める所があれば、全体に広がることができません。

反対に、自分がいつも固めている所を開放できれば、全体に広がることを体験します。

 

(4)弛緩した場所は、動きやすい

細長い風船で見てみましょう。
写真の左の風船に、力を加えて曲げると右の写真のようになります。
風船全体に均等な張り(トーン)があるときには、風船全体が1つの曲線になります。

 

 

 

 

この風船の一部分を、左の写真のように張りの無い、弛緩した状態にしましょう。
この状態で力を加えると、その弛緩した部分だけが折れたようになることが分かります。
その両側の部分には、カーブは起こらず、塊として動くだけです。
弛緩があると、全体性のある動きは失われてしまいます。

 

これは人間の身体でよく起こります。
どこかに力の抜けた部分があると、そこがよく動くことが習慣になり、全体を使えなくなってします。
人の脊椎で動きやすい2つの部分は、頚椎(けいつい、首の骨)と胸椎(きょうつい、胸の骨)の境の部分と、胸椎と腰椎(ようつい、腰の骨)の境の部分です。
みなさんは、ときどき首の突き出しが気になる人を見ることでしょうし、座り姿勢の悪い子供には、お腹の部分に張りがなく、そこをいつも折ったようにしていることを観察することでしょう。

アレクサンダー教師は、生徒の身体にそのように弛緩しすぎた部分が、あると、そこに適切なトーンができるようにしてから、全体の動きが起こるようにします。

WS参加者感想

参加者の感想を紹介します。

テンセグリティと言うのを初めて知りました体は全部つながっているんだということが面白かったです頭から上に伸びていく意識を持つようにしていましたが体は全体としてはついて行っていなかったと感じました。歩く時からまた意識していきたいと思います。(N .K.さん)

背中全体が広がっていく感覚を生活の中で使い、 龍座るに活かして行きたいと思います。テンセグリティの考え方その使い方がとてもよくわかりました 。(K.N.さん)

体の力んでいる部分を意識して緩めていきたいです。頭が後ろに倒れやすい曲があることに改めて気づきました先生に行っていただいたように自分を導く事は難しいですが少しでも意識していきたいです。(M.I.さん)

説明がとてもわかりやすたったまた体に触っていただいて体感することができてとても良かったです。(D.I.さん)

どこかを固めると別のところに影響が出ることがある、ということをセラピーの土地に考えたいと思いました。 体が骨になったような感覚が面白い体験でしたテンセグリティを作っていることも楽しかったです。(K.T.さん)

自分を広げる使い方を意識しようと思います。一部への力が分散されて違った部分に影響が現れる様子が分かりました。(M.T.さん) 道具を使っての説明が、。なんとなく二方向への張りぐらいに思っていましたがテンセグリティという構造ガ3次元としてイメージ出来ました。(T.K.さん)

次へ →